詩人まどみちおさんとトンチンカン、仲良し夫婦の秘訣|ゴニョ研

2017年10月15日笑える小話と家族のエッセイ

こんにちは ゴニョゴニョ研究室のガッツかよめです。

童謡「ぞうさん」の作詞で知られ、ノミや蚊、漬物石や果ては綿ぼこりまで、生活の中にある小さなものに光をあて、短い言葉で宝石のような詩をつくる、まど・みちおさん。今回はまど・みちおさんから、夫婦が豊かに仲良く生きる秘訣を学んでみたいと思います。

愛しのまどさん

ガッツは、童謡「ぞうさん」の作詞で知られる、詩人の、まど・みちおさんにあこがれています。児童文学のノーベル賞ともいわれる国際アンデルセン賞・作家賞をはじめ多くの賞に輝き、童謡・絵本・詩など多岐にわたり活躍した名実ともに日本を代表する方です。

にも関わらず、まどさんの談話などを拝読すると、それはそれは謙虚で、しかも誠実そのもので、それでいて気さくで、いつも穏やかな優しい笑顔を浮かべていらっしゃる。こう言うと失礼ですが、まるで恥ずかしがり屋な近所のおじいさんのようなのです。

まどさんの深い人間性と奥様への愛

まどさんは104歳で亡くなられましたが、晩年、7歳年下の奥様に認知症の症状が出て悩んでおられたそうです。奥様が食べきれないほどの出前を頼んでしまったこともあるとか。しかし、「トンチンカン夫婦」という作品の中では、まどさんも片足に2足の靴下をはいて片方が見つからないと騒ぐ、だから笑いは絶えず、トンチンカンは天の恵みだと感謝しておられます。

実際の生活ではご苦労があったのだろうと推察しますが、「まあまあ、我々はトンチンカン夫婦なんだから楽しもう」と、そう考えられた姿勢がなんと尊いことか。

なんと豊かな人間性、そして奥様への愛。どうしたら、こんな風になれるのでしょう?

彼の詩を読まれた方はおわかりになると思いますが、まどさんは、あらゆるものに命を感じ、心を通わすことができるのです。その対象は蟻や枯れた茎にとどまらず、漬物石や綿ぼこりやオナラにまで及びます。

我が家のトンチンカン1

我が家にも、ひっきりなしにトンチンカンのお恵みがあります。

夫は娘が小さい時、売り声につられて彼女の大好きなわらび餅を買いに行ったところ、実はわらびもち屋さんではなくラーメン屋さんの屋台でした。

夫はしかたなく、屋台のおやじさんに

「あっ、これはラーメンですね」

と言って立ち去ってきたということです。

チャルメラだから最初からラーメンてわかるだろ。

関心を持てば小さなことも見逃さない

まどさんには遠く及ばなくとも、私達にも、何かに強い関心を持つと、その領域では他人が見過ごすようなものに心を動かされたり、発見があったりすることはあります。

たとえば私は花が好きなんですが、種をまくと小さな芽が出た、葉が広がった、ちょっと元気がない、小さな虫がいる、とか、ほんのわずかな変化に一喜一憂し、変化の原因が理解できないと懸命に調べたりします。ところが他人には、どこが昨日と違うかさえわからなかったりします。

我が家のトンチンカン2

私はスーパーでレジを済ませた後に、考え事をしながら道を歩いていたら、自分がスーパーのかごを持っているのに気づき、大変びっくりしたことがあります。

小さなことに気を取られ過ぎていると、大きなことに気がつかないことがあるので注意しましょう。

小さなことへの関心が幸せな人生へと人を導く

まどさんの場合は、生活の中で出会うあらゆるものに関心を持つことが、詩人としての原点だったのでしょう。それが彼の人間としての豊かさにもつながっているような気がします。綿ぼこりにさえ、「こんなに大きくなるまで大変だったろう、ご苦労さん」と声をかける人は、めったにいません。

もともと豊かな人間性があればこそ詩人になれたとも言えますが、彼が詩人として生きるために欠かせない、小さなものへの愛情が、彼をさらなる高みへと導いたのではないでしょうか?

我が家のトンチンカン3

夫が珍しく目玉焼きをやいてくれるという休日の朝。夫はトントントンと調子よく卵を調理台に打ち付け、見事な手さばきで割り入れた先は、なんと台所のシンクの三角コーナーでした。

私は夫を非難せずにねぎらい、シンクの中の卵に「苦労をかけたね」と声をかけました。このような行動が私を高みへと導いてくれるに違いありません。

夫婦もお互いに関心を持ちあって豊かな人生を

夫婦というのは、お互いに関心を持ち、小さな変化に気づいてあげたり、何気ないしぐさを見逃さないことが大切です。

「どうかした?」

「なんかあったの?」

などと、さりげなく声をかけることで、他人には吐露できない心情を打ち明けてもらいやすくなります。伴侶の小さな変化を察知することで、もちろん心配事が多くなる可能性もありますが、早期発見は早期治療につながり、問題解決がたやすくなる可能性も高いと思います。

ともに過ごす時間が長く、接する機会の多い夫婦のこと、そこから得られる豊かな生への恩恵もさぞ大きいことでしょう。

我が家のトンチンカン4

ある朝、起きたら自転車置き場に自転車がありません。私はてっきり盗まれたと思い、交番に電話しようとして、はたと思い出しました。前日、自転車で買い物に出かけ、歩いて帰ってきてしまったのでした。

ちなみに夫は、こういう時、

「あんたがどっかに置き忘れてきたんだわ」と、いたって冷静です。

私のことを、普段から細かく観察できているとはいえますが、まど・みちおさんのような愛情が足りなくないですか?

種をまいて、毎朝いつ芽が出るかとドキドキしながら植木鉢を観察するように、毎日新鮮な気持ちで伴侶を見つめられるといいですよね。