京都ミシュラン5つ星!貴船の料理旅館_右源太の川床料理|ゴニョ研

2017年9月16日大人の旅

ゴニョゴニョ研究室のガッツかよめです。

2017年8月も終わりに近いある日、家族3人で京の奥座敷、貴船の旅館「右源太」に行きました。目的は、もちろん川床料理。1年に1度のぜいたく旅行です。この様子を美しい写真満載でご紹介します。

娘と私は地蔵顔で、京都のお寺に並んでいたら外人観光客が拝んでくれそうだし、夫は日焼けで赤黒く小柄で、東南アジアのお土産の人形にそっくりです。
高級旅館に行く感じではないので、不安です。(^^)

右源太へは叡山電鉄で。沿線は美しい写真スポットが満載

出町柳駅から叡山電鉄に乗って、貴船口駅に向かいます。

撮り鉄だったら撮りまくっちゃうかも、というくらい車両もかわいらしくて人気のようです。
この叡山電鉄の沿線には、桜、もみじ、新緑、と季節ごとの絶景を味わえる名所が多くあるため、車両の窓が大きく、写真のように椅子を回転させることができるんです。紅葉の頃などは夜のライトアップもあって、この電車に乗るだけでも観光気分を満喫できます。

30分ほどで、日中だというのに心地よい涼風の吹く貴船口駅に到着です。川床でお料理が食べられる料亭や旅館が立ち並ぶ貴船へは、貴船口から車で10分くらいです。右源太からお迎えに来ていただきました。

貴船は、すごく道が狭いんですよね。車がすれ違えないところもあり、旅館到着までに何度も対向車が通るのを待つなんていうことがあります。普段なら思わずイライラしちゃうところでしょうが、今日はぜーんぜんそんなことはありません。ここは貴船。もうすぐ天国のようなお部屋に着いて、この世のものとは思われないほど美味しいお料理食べるんですもん。

貴船の高級旅館「右源太」に到着

縁結びで有名な貴船神社のすぐそばを通って、右源太に到着しました。

趣のある玄関に歴史を感じます。

さすがミシュランガイド京都・大阪2017に、5つ星のさらに上の★★★★★+で掲載されているだけあって、宿の方の応対も丁寧で細やか。館内はゆったり広々として解放感があります。

木をふんだんに使った内装のせいでしょうか。一歩足を踏み入れただけで、ほっとくつろげる雰囲気です。

花の大好きな私としては、床の間の立派な花器に活けられた豪華な花だけでなく、ちょっとした隙間に小さな菊が置かれていたりするのが、本当に心和みました。

まあガサツな夫は全く花には目もくれないのですが。

お部屋の玄関に到着しました。

右源太ならお部屋で貴船の自然を満喫!居間でもお風呂でも!

右源太の客室は2部屋のみで、和室と洋室が1部屋ずつしかありません。今回私たちが選んだのは和室です。

さあ、お部屋の中を見てみましょう。

玄関の灯篭など、粋な小物たちが生活感のないおしゃれな空間を演出し、日常を忘れさせてくれます。

下の階には、囲炉裏と掘りごたつのある大きな居間、窓際にロッキングチェアのあるスペース、寝室、洗面スペース、内風呂、トイレがあります。

右源太はひとつひとつの家具のデザインにもこだわっているんですよね。シンプルな中にも重厚で落ち着きのある内装や家具も見どころです。

ロッキングチェアのあるスペースに面した大きな窓は一枚ガラスで、ここから貴船の四季を味わうことができます。

こんな風にお部屋にいても貴船の自然を体感できるのは右源太ならでは。

居間の電灯と寝室のフットライトは、無段階で明るさを調節できます。空調も加湿器も自分で調節でき、快適でした。

内風呂は広々として、ジャグジーのついた浴槽と洗い場で合わせて8畳くらいはありそうです。窓があってバルコニーにつながっているので、景色を眺めながら入浴できます。気分爽快。

だいたい、個室露天風呂のある旅館は、露天風呂だけで内風呂はないとか、あっても小さいとか、シャワーだけっていう所がほとんど。

だけど、右源太は内風呂も充実していて、しかも外を見ながら入浴できる。どしゃぶりだって外を眺めながらお風呂に入れるのが素晴らしい。

そうそう、アメニティは男性用と女性用がかわいい巾着袋の中に用意されています。女性用の化粧品はエリクシール・スーペリアでメイク落としから乳液まで揃ってます。ほかに温泉水のスプレーと石鹸もありました。

さあ、2階の部屋も見てみましょう。

2階はロフトのような雰囲気です。お布団が3組くらい敷ける畳の部屋で、パソコンと机が置いてあります。

露天風呂です。湯加減は少し熱めなので、水を出して調節します。

24時間入れるので、夕焼け、星空、朝もやと、いろいろな雰囲気を味わえます。山手に面していて、入浴する姿を誰かに見られるという心配も全くありません(笑)。

露天風呂の前には休憩用の椅子も置いてあります。

夕暮れの露天風呂は、何とも心休まるひと時でした。

ミシュラン5つ星、右源太の川床の様子

この日は夕方から雨予報。川床でお料理をいただけるかわからない状況でした。お風呂からあがってくつろいでいると、アンティークな電話機の呼び出し音。「川床にお食事の用意ができました。」思わず、笑顔がこぼれます。

日中の京都の中心部の気温はおそらく35度くらい。猛暑です。貴船では、暑さはまったく感じません。それどころか、川床は浴衣姿では肌寒い! 丹前を羽織ってちょうど良い。

草履をはいて旅館を出て、通りを渡り階段を下りていくと川床です。ここの川床は起伏があって川の流れが速く、水しぶきが飛んできそうなほど。より涼しさを感じることができます。

夫と私は床の端、ぎりぎりの席だったので、川面に手が届きます。というか、ちょっと後ろに重心をかけたら、ドボーンと川に落ちそうです。最近、通勤途中に車止めに躓いて骨折し1か月ギブスで暮らした私を、夫はしきりに心配して「落ちるな、落ちるな」と。

ほっとけ!!

川のせせらぎ、虫の声、揺れる提灯、山のにおい、川床ならではの味わいです。夫は子どものように(身長はもとから子どものようなんですがね)はしゃぎ、川に足を突っ込んだりして、冷たい、冷たいと喜んでいました。

大人の隠れ家のような、こんな洒落た場所で、そんな恥ずかしいことをしているのはもちろん彼だけ。娘と二人で思わず他人のふりをしました。

ミシュラン5つ星、右源太のお料理!全部写真つき!

先付「唐墨 バチ子 炭火焼」

手前は湯葉を揚げたもの。からすみとバチ子を炭火であぶっています。カボスをしぼっていただきます。

バチ子というのは、なまこの卵巣に塩をして、竿にかけて干したものだそうです。竿からたれた姿が三味線のバチに似ていることが名前の由来。大きなものでは、一つのバチ子に30匹以上のナマコの卵巣が使われているのだとか。ナマコは雌雄同体だけれども、卵巣を持っていないナマコも多いので、大量のナマコを捕らないとバチ子はできません。ですからバチ子は非常に貴重で、大変高級な肴です。濃厚な味と独特な香り。噛むごとに口に広がる海の恵み。高級なおかきをもっと格調高くしたような味。(どんなんじゃ?!)。今回はやりませんでしたが、あぶったバチ子を日本酒の中に入れる、フグのひれ酒のような楽しみ方もあるようです。冬にはぜひ!

前菜「鮑やわらか煮 新銀 杏山葵合え 生湯葉」

銀杏が美しい。

アワビの独特の歯ごたえとほろ苦さ。まったくクセがなくて後味がよいのに、とっても深い味でした。

吸物「鱧葛打ち」

京料理で私が一番好きなのは、このような椀物です。

ちょっと寒いくらいの風に吹かれながら、お出汁が効いて、ちょっととろみのついた暖かい椀物をすすると、肩の力が抜けて幸せな気分になります。

それに、なんといっても鱧です。ほろほろっと口の中でほどけ、出汁とまじりあって飲み込むのが惜しいくらいです。

一粒のイクラも可愛らしい。

造り「天然鯛 中トロ 焼霜鱧 車海老」

いよいよお造りです。

天然鯛と中トロ、焼霜鱧と車海老です。盛り付けのなんと美しいことでしょう。うっとりします。右源太のお料理を見ると、いつも料理って芸術なんだと気付かされます。

お刺身以外にも興味をそそられるものがたくさんあります。穂紫蘇(ほじそ)や花丸キュウリ。お刺身の下に敷いてあるのはツワブキの葉でしょうか。

ほおずきに、わさびが乗せてあります。

焼霜鱧(やきしもはも)と車海老がもたれかかっているのは、たぶん薄く切った赤大根。たくさんの名脇役が全力で舞台を支えています。

こんな風に、脇役をおしげもなくふんだんに使い、一皿が舞台芸術のように華やかなのは、右源太以外では見かけません。

お味は言うまでもなく、甘みがふんわりと口のなかに広がるものばかり。車海老の歯ごたえがまた格別でした。

焼霜というのは魚の皮を直火で焼いた後、すぐ冷水でさます調理法のことです。風味が増して余分な脂肪が取れるんですね。この焼霜鱧、焼き目がまた美しく梅との相性抜群で、いくらでも食べられそうでしたが、一人2切れでした。

焼物「石庭盛り 鮎塩焼き 地鶏塩焼き」

お造りから打って変わって、大胆で荒々しい構図の石庭盛りです。

石庭盛りというのは、鮎の塩焼きを盛り付ける際に塩で清流を表現し、まるで鮎が泳いでいるかのように盛り付ける手法です。貴船が発祥なんでしょうか? 盆に石と砂を置いて名勝地を表現する「盆石」という茶室の飾りにヒントを得て始まったようです。

鮎はまったく臭みはなく、大きいのに骨も食べられるくらい軟らか。脂がのっているのにあっさりしていて、他所で食べる鮎の塩焼きとは別のお料理のようです。

川に浮かぶ船の中には地鶏の塩焼きが。

これも軟らかで香ばしく、肉汁も適度。あっさりとこってりの中間くらいです。明らかに醤油とか、明らかに塩、という味はせず、素材の味や出汁の味が旨みを出しています。調味料の味は前面に出ないのに、味が薄いとは全く思わないのです。そんな京料理の味付けは私の大のお気に入りで、家庭でも見習いたいです。

左隅にある蜜柑色の果実は、甘酸っぱくて種もなく、フルーティなミニトマトのような味で、鮎や鶏の合間に食べるとちょうどよく口の中を潤してくれました。これ、食用のほおずきです。

川辺や川面の脇役たちも、ほとんど食べられます。蟹もとてもおいしかった。

さすがに石はかじってみませんでしたし、塩もなめませんでしたが…。(^^)

凌ぎ「万願寺寿し」

凌ぎ(しのぎ)は、会席料理では献立の中程より前に組むことが多く、空腹を少し凌ぐというのが名の由来です。飯蒸し、寿司、茶そばや、芋類、季節の野菜など、腹持ちの良い食材で工夫した料理を少量出すのだそうです。

今日の凌ぎは万願寺寿司です。万願寺唐辛子の中に酢飯が詰めてあるのですが、万願寺唐辛子の歯ごたえとほろ苦さ、酢飯の柔らかな酸味と甘みが相まって、なんだか懐かしい味。今までの個性的なお料理をちょっと休みして一息つける、幸せな1品です。

会席料理の構成は、よく考えられているのですね。

揚物「賀茂茄子 雲丹」

あっさりとしたお料理のあとは、少し濃いめの味付けです。

これはもう、お味はご想像ください。絶品です。

台物「鱧しゃぶしゃぶ」

台物(だいのもの)は、本来脚付きの大きな台にのせた料理のことですが、一人用のコンロを使った焼き物や煮物、小鉢仕立てなどが出されることが多いようです。

涼を誘う美しい細工が施されたガラス皿の奥に鎮座する、煙突のようなものは、京水菜を湯葉で巻いたもの。鍋に入れると、ほどけて良い感じに火が通ります。

そして、秋の味覚。香りの王様、松茸。

こんな豪華な具材を入れて、なんて高級なしゃぶしゃぶ。

松茸の香りに包まれながら、淡白で出汁にそっと寄り添うような湯葉、しゃきしゃきした水菜、ふわふわの鱧をかわるがわる口に運びました。それだけで飲んでも美味しい出汁。ふつう飲まないでしょ? 私は飲みました。

この時間にはすっかり日も落ちて、涼しいというより寒いくらい。こんな鍋物がちょうどよい気温でした。中居さんの話では、先付の炭火焼き用のコンロを、寒いから下げずに置いておいて、というお客さんもいるとか。猛暑の都会との差に驚きます。

御飯「鮎御飯」

中居さんがニコニコしながら、私たちが全く残さずにお料理を食べるので、料理長がたいそう喜んでいる、と教えてくれました。この料理の量の多さは並ではないです。でも私たち、残すの嫌いなんです。

もうねえ、ほんとに、おなかパンパン。転がって川に落ちそうです。

で、このとっても美味しそうな鮎ご飯、大きなお釜で運ばれてきましたが、少しだけよそっていただきました。ほんのりと出汁が香り、しっとりとした鮎がちょうどよい炊き加減のつやつやなご飯とまじりあって味わい深く、心安らかになりました。おにぎりにしたものを「お夜食にどうぞ」とお部屋に持ってきてくれるのですが、それはさすがにご遠慮しました。

もうダメ、苦しい。でも幸せ。

次の水物は、お部屋に持ってきていただくことにしました。

水物「季節のフルーツ」

水物とは、その名のとおり水分を多く含んでいる食品で、果物、かき氷、飲料などを言います。要はデザートってことかな?

本日は、ブドウとなしです。写真だとよくわかりませんが、器の底にあっさりとした甘さで水分の多いジュレのようなものが敷かれています。このジュレの美味しいこと。むきになってすくい、完食しました。

さあ、お食事は終了。でも、みなさんにもう一つお話ししたいことがあるのです。

右源太の器たち!魯山人の言葉「食器は料理の着物である」

時々お邪魔する日本料理店で、見とれるほどの美しい器が出てきました。それをほめたら、オーナーである料理長が、旅行に出かけるたびに器を探すとおっしゃっていました。そして、素晴らしい器をみると、ああ、この器に、こんな料理を盛り付けようと、強烈にインスピレーションがわいてくるのだそうです。

今日の器も、素敵なものばかりで息をのみます。

さりげなく置かれた取り皿に、水鳥の絵が描かれています。

重厚な焼き物

繊細な切子のガラス

器を眺めるのも、右源太の楽しみの一つです。

右源太は朝ごはんもやっぱり川床!!

朝が来ました。夜のうちにずいぶん激しい雨が降りましたが、何とか上がりました。もう一度露天風呂に入り、朝の森の空気を思い切り吸い込みます。

貴船は本当に自然が美しい。そんな貴船の大自然の息吹が体中で味わえるのは右源太の素晴らしいところです。

そして、朝ごはん。
夕ご飯は、お食事だけのお客さんが大勢いましたが、朝食は宿泊客のみです。

静かな森の朝。川のせせらぎや鳥のさえずりを聞きながら、ゆっくりと朝食をいただきます。ちょっと肌寒いけれど清々しい凛(りん)とした空気が気持ち良いです。

朝ごはんは写真右奥から、手づくり豆腐、薬味の鰹節・しょうが・ネギ、正面手前が黒ムツの照り焼きです。その奥がちりめん山椒、梅干と柴漬けがあり、一番左手前が、出汁巻卵と出汁醤油を含ませた大根おろし、手前真ん中にご飯とお味噌汁です。

夫は朝からビール。そりゃ、飲みたくなりますよ。このメニュー見たらね。熱いほうじ茶も美味しかったです。

朝ごはんにも、ちゃんと水物が付きます。マンゴーとメロン、ヨーグルトとブルーベリーが添えられています。

右源太のご飯はこれが最後かと思うと、とっても名残惜しかったです。

そうして私たち3人は、後ろ髪を惹かれながら右源太を後にしたのでした。

「右源太」は頑張っている自分へのご褒美

あっという間の1泊でした。

今、こうして右源太でのことを思い返すだけでも満ち足りた気持ちになります。貴船の自然を感じながら、贅を尽くしたお部屋とお料理を堪能できるのは、本当に幸せ。日常はちょっと切り詰めてでも、とっておきの休日を味わってみるのも良いのではないでしょうか?

私自身、今50代半ば。
思えば、仕事でも家庭でも大過なく過ごし、大変恵まれている方だったとは思います。
それでも、褒められることより叱られることの方がずっと多く、報われることより砂をかむような悔しい結果の方が多かった。
特に女性は、自分のことより家族のこと、仕事のことに時間を奪われがちですね。
親の介護などあればなおさら。
そんな方に、ぜひ、極上のぜいたくを、味わっていただきたいなあと思うのです。
右源太でお風呂に入ってぼーっとして好きな音楽を聴いたり本を読んだりして、夢のようなお食事を頂くと、どんなに辛いことでも、一時忘れられます。
自分のふがいなさも、その時だけは全然気にならなくなるのです。

ちなみに、川床は5月1日~9月30日まで。宿泊なしでお食事のみも可能です。ただ、お料理の内容は宿泊と同じものは難しいようです。また、その日の仕入れの具合や季節により、献立は随時変更されるそうです。冬にも右源太に泊まったことがありますが、とっても美味しかったです。

右源太は、C.W.ニコル氏の「とっておきの場所」だそうです。

ぜひ、あなたも至福のひとときを。

あっ、そうそう!
右源太は2018年に露天風呂を改装したんです。
改装後のお風呂の様子や、旅館の中やお部屋の様子、お部屋のアメニティや浴衣などは、右源太の宿泊2018・最高の料理と新露天風呂を写真満載でご紹介で、詳しくお伝えしております。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

美しいお料理がお好きな方に。


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