方向音痴な女のひとり旅!名古屋→東京ブルーノート編(2)|ゴニョ研

2018年3月8日笑える小話と家族のエッセイ

この後の2nd も聴く私は8時20分の開場を待つ。
2ndでは私は自由席47番。
今度は20代と30代前半と思しき男性2人組と相席になった。

会話から察すると、どうも2人とも音楽関係の仕事で、もう何度もロイのステージを見ているらしい。
ロイたちが登場すると私の隣の男性が、すかさず

「イェイッ」

えっ? 素晴らしい「イェイッ」。
私はあなたの、その声に、「イェイッ」って言ってあげたい。

その後何度も、そのタイミングと声の張りに感嘆する。

ステージ上もロイは1st の不調が嘘のように、息をのむ早いフレーズを全くぶれなく吹きまくる。まさにこのバンドは世界最高峰だ。

終演後、Mr.イェイッと話をすると、彼はトランぺッターなのだそうだ。
どおりですべてが音楽的。

ガッツ
私、海野さんの大ファンなんです!

もちろん誰もそんなことは私に尋ねていないが言いたかった。

Mr.イェイッ
そうなんですか、じゃあ彼が日本にいる時から?

ガッツ
あ、いや、1か月前くらいから聴き始めたんですけど。

にわかファンばればれで、バツが悪いことこの上ない。

Mr.イェイッ
でも、詳しいんですよね、曲名、むっちゃメモッてましたもんね。

いや、曲名なんて、全く分からんよ。ロイの曲なんて、難しくてテーマも覚えられんもんね。2曲聴いたら同じ曲か違う曲かもわからんくらい。メモってたのは、ロイの服装とか、こうやって出てきたとか、ドラムセットのシンバルの形が面白いとか、ドラムのクインシーが汗を拭きながら叩くのがかっこいいとか、どうでもいいことばっか。

でも、明らかにジャズのスタンダードだけど、タイトルがわからない曲は、ちょっとだけ聴きとれたとこを「ドレミ」で書く。
後で調べてわかった “Never Let Me Go” は「ソラミラソー」。
そんなことしゃべっていたら、Mr.イェイッが指さして言った。

Mr.イェイッ
あ、海野さん、あそこにいますよ!
数メートル先で海野さんが、お客さんのひとりと話しておられる。
しばし見とれるものの、声をかけられる雰囲気ではない。