Tadataka Unnno “Jouneyer”|ゴニョ研
BGMにもガチ鑑賞にも!Tadataka Unnno “Jouneyer"
連れ合いに「海野教」信者と言われております。
はい、もう、ジャズピアニスト海野雅威さんが好きすぎて、いっそのこと、「海野教 信者の会 日本支部 広報部 雑用係」とか名刺を作りたいくらいです。
というわけで、入手したアルバムでございます。
これ、アマゾンとかCD屋さんで売ってないし、どこの音楽配信サービスでも扱われてないんです。
入手方法も後で書きますね。
一般販売がされていないにも関わらず、このアルバムは海野さんの公式サイトにも載っているし、このアルバムのジャケット写真は海野さんの FaceBook のアイコンにまでなっているんです。
で、結論を先に言うと、とてもバランスの良い、リラックスした演奏で、秀作です。
このアルバムは、なんか家事したりブログの原稿を書いたりしながらもご機嫌で聴けるし、スピーカーの前に正座して一音たりとも聞き逃さないという気持ちで聴くこともできます。どちらにも十分対応できる不思議なアルバムなんです。
2014年11月発売で2014年5月の録音ですから、“Danro" (2015年12月に録音)より前で“PLAYS JAZZ STANDARDS" (2011年4月に録音)より後ということになりますね。
珠玉作揃い! "Jouneyer"の各曲ご紹介!
このアルバム、なんと10 曲中7曲がオリジナルなんです。
タイトルの下に作曲者名の記載があるのがスタンダードです。
経験から言うと、そういうアルバムは疲れる場合が多いんですよね。
これ、私だけです?
で、ジャズの音楽家の作るオリジナルって、なんか難解な曲が多い。何回聴いても難解。
いや、それが、このアルバムは全然大丈夫。私、あまり曲名なども確認せずに聴いていて、「これってなんていうスタンダードだっけ?」って思ったら、オリジナルということが、ずいぶんありました。
はい、私があまりスタンダードを知らないからということもありますね。
でも、海野さんの作る曲は、メロデイが親しみやすくてキャッチーな曲が多いんです。
ではメンバー紹介の後、1曲ずつご紹介します。
【メンバー】
海野雅威/Tadataka Unno(piano)
ハッサン・シャコー/Hassan J.J. Shakur(bass)
ジェローム・ジェニングス/Jerome Jennings(drums)
1 Pick Off Move
ブレイクが最高にかっこいい、ミディアムテンポのスィング。メロディは同じフレーズの繰り返しなのに、最高にカッコいいリズムとハーモニー。ベースとドラムとも、本当に息ピッタリ。
2 Crazy Love
意味深なタイトルですが、それほど殺気立った感じではありません。アップテンポの3拍子。印象的なベースラインをピアノとベースがユニゾンして始まります。ヨーロッパの街並みをバックにスパイが敵に追われながら逃げるシーンを思い浮かべました。
3 Have You Met Miss Jones? (*)
オスカーピーターソンの名演などでお馴染みの「ジョーンズ嬢に会ったかい?」。海野さんもこの曲が入ったピーターソンのアルバム、“We Get Requests"は大好きだというのを、どこかで読みました。オスカーのバージョンはスローテンポですが、この演奏はアップテンポ。疾走感抜群で軽快そのものの演奏です。後半のブラシでのドラムソロが聴きごたえ満点。
4 While You Were Out
オリジナルのバラード。タイトルからイメージを膨らませてください。テーマは同じパターンのメロディーを繰り返しているだけなのに、じょじょに盛り上がっていき、胸がきゅんとして、そのあと優しい気持ちになれる曲。ベースソロが歌心に溢れて素晴らしいです。もちろんピアノソロも、センス抜群のフレーズばかりで酔いしれてしまいます。
5 Lullaby Of The Leaves (*)
Joe Young 作詞、Bernice Petkere作曲。バリトンサックスの名手ジェリー・マリガンのレパートリーとして、ジャズファンに愛されたそうです。(「木の葉の子守歌~アメリカのポピュラー音楽の礎を築いた”ティン・パン・アレー”から生まれた名曲」、TAP the POP より抜粋 )
ピアノ、ベース、ドラムが同じリズムを演奏する部分が多いのですが、縦の線がバッチリ揃っていて、本当にノリが合っているのだなあと感心します。
6 Some Other Suite
アップテンポのボサノバのオリジナル。ブラジルのボサノバの昼寝風ではなく、キレ味の良いジャズのボサノバです。でも肩の力を抜いて聴ける、そしてやっぱり親しみやすく美しいメロディ。
7 The Magic Doesn’t Just Happen
ちょっとコミカルな感じのするミディアムテンポのスィングの曲。この曲もブレイクで随所に入るベースやドラムのフィルインが最高にかっこいい! 思わず笑顔になっちゃうような、鼻歌を歌いたくなるような、しゃれた曲です。そう、私の大好きな「君住む街で」のような軽快さと親しみやすさ。そして聴いているとウキウキするようなスウィング感。
後半の長いピアノソロも、手を変え品を変え楽しませてくれるので飽きません。
8 Isn’t This Gate Working?
アフロキューバンのリズムで、哀愁を誘う曲です。同じリズムが畳み掛けられて、切なさが増します。この曲もハッサンのベースソロが、実に味わい深い。ドラムソロもとても丁寧で緻密。
9 Song For The Spiritual Journeyer
ゆったりとした流れが、波や風や光のような自然を感じさせるイメージです。クラッシックのピアノ曲のように始まりますが、中盤で民謡や唱歌のような懐かしく美しいメロディが展開されます。タイトルにピッタリな、壮大で神々しい曲です。
10 Come Sunday (*)
デューク・エリントン作曲。バラードでしっとり演奏されることが多い曲のようですが、ハネる8ビートでものすごく軽快なアレンジになっています。私はこの曲がアルバム中、一番好きです。ノリノリ。
でも、調べてみると、この曲はノリノリの内容ではないことが分かりました。
"Come Sunday" は、現在、賛美歌として教会で歌われているそうですが、元々、「エリントン、アメリカ黒人史を語る」という趣向の壮大な組曲 “Black, Brown and Beige"(’43)の第一楽章 “Black" の一部分でした。この楽章は、3つのパートから成り立っていて、アメリカに連れて来られた黒人奴隷達の姿を音楽で描いています。
“Come Sunday" は、過酷な労働を唄う “Work Song" と、苦難の中の希望の光見出す “Light" の間のモチーフで、稀代のアルト奏者、ジョニー・ホッジスをフィーチュアしたスピリチュアル(黒人霊歌)、現在の私達におなじみの"Come Sunday"は、このパートの中の32小節を抜粋したものです。
対訳ノート(44):Come Sunday INTERLUDE by 寺井珠重
なるほど。これも、何で読んだか忘れてしまったのですが、海野さんはNYへ渡ってから、教会でピアノを弾く仕事もしていたそうです。こんなアレンジの"Come Sunday"を弾く機会もあったのでしょうか? 彼はきっと、この曲の背景は知りながらも、あえて明るく軽快なアレンジに挑んだのではないかと思います。素晴らしいアレンジです。
奥深いのに鼻歌で歌えるメロディが最高!!
オリジナル7曲、スタンダード3曲。リズムや曲調がバラエティに富んでいて、とてもバランスがよく、楽しめるアルバム。試聴ができないのがとても残念です。
Tadataka Unnno “Jouneyer" 購入方法
“The Walker’s"というジャズと音楽情報の雑誌があるのですが、そちらへ申し込むと買えるようです。
件名に【海野雅威『ジャーニアー』購入希望】とご記入頂き、アドレスthewalker@k07.itscom.net 宛てまでEメールにてご連絡下さい。
海野雅威『ジャーニアー』
© Tadataka Unno 2014
TADATAKA UNNO new album “Journeyer"!の購入方法を紹介した"The Walker’s" のフェイスブックページ
私が2018年3月終わりに買った時には、送料込2.800円でした。
アルバム一覧はこちらの記事にあります。
海野さんはサイドマンとしても最高です!
サイドマンとしての海野雅威・NYのジャズシーンの今を聴くで、そんな海野さんの演奏をご紹介しています。
では、きょうはこのへんで。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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