ペンタトニックス!アルバム”Top Pop, Vol. I”とマット・サリー徹底調査!|ゴニョ研

2018年4月14日ポップスおすすめ

新メンバー、マット・サリーが加わったペンタトニックス!
そこで「マット・サリーってどんな人?」っていう疑問にバッチリ答えます。
そして、アルバム、"Top Pop, Vol. I"の全曲を、オリジナルと比べながら詳しく解説!!

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ペンタトニックス!待望のニューアルバムPTX Presents: Top Pop, Vol. I 発売!

全曲が最近のポップヒットのカバーで最上級のアカペラ。
そこで、この記事で全曲をオリジナルと聴き比べてみることにしました。
全曲試聴できます!!

驚異のアカペラグループ、ペンタトニックス!

ペンタトニックスはアカペラ旋風を巻き起こした

本編の前に、ペンタトニックスのこと、ちょっとだけご紹介します。

ペンタトニックスは、とにかく、他のアカペラ・グループとは一線を画すグルーヴや、驚異的なコーラスワーク、洗練されたアレンジでファンを増やしています。

結成7年、「ダフト・パンク・メドレー」で強烈な衝撃とともに一躍その名を轟かせて以降、カバーのみならず数々のオリジナル・ソングでもヒットを飛ばし、全米週間総合アルバム・チャート<ビルボード200>で2度の1位、グラミー賞3度授賞、動画総再生は31億回を超える、“声”だけで世界中を魅了し続ける奇跡のアカペラ・グループ。

<新生ペンタトニックス>“最旬”大ヒット曲ばかりのカバーによる最新アルバム本日発売!iTunesで即時1位! | ソニーミュージック オフィシャルサイト インフォメーション 最新アルバムより

彼らは、アメリカのアカペラ・オーディション番組 “The Sing Off" に出ていたアマチュア時代から大勢のファンを持ち、注目されていました。この番組の審査員の1人であった、アカペラの伝説ともいうべき Boyz II Men のメンバー、ショーン・ストックマンを毎回、興奮のあまり立ち上がらせていたんです。

そして、彼らが驚異的な支持を得ることによって、「アカペラ」は脚光を浴びるようになったのです。

ペンタトニックスはパロディが作成されるほどの人気!!

ペンタトニックスの「ダフト・パンク・メドレー」すごいですよね。
かっこいい!!
でも、私、実はペンタトニックスの「ダフト・パンク・メドレー」よりも、これのパロディの方をよく見てます。
トドリック・ホールという音楽家が、一人で5役!
多重録音してPentatodrix by Todrick Hallという最高に笑えるパロディを作ってます。ちょっと心配になるくらいエグイ動画ですが、ご心配なく。
トドリックとペンタトニックスは仲良しです。
お勧めしたい理由は、なんといっても音楽的な質の高さ!
笑っちゃって真剣に聴けないのが難点です。

新メンバー、マット・サリーを詳しくご紹介!

昨年惜しまれながらもグループを離れた結成当初からのメンバーであったアヴィに代わり、昨年末のツアーから同行し、バークリー音楽大学で声楽の勉強をした経歴を持つ24歳のマット・サリー(バス担当)を正式メンバーとして迎えた。

上記と同様のサイトより

マットの参加後に公開され、マットの実力がよくわかる動画はこれ。
[OFFICIAL VIDEO] Deck The Halls – Pentatonix

そして今年の3月に公開されたマットの紹介動画がこちらです。
Introducing… Matt Sallee
この動画の日本語訳が、ペンタトニックスのソニーミュージック・オフィシャルサイトに掲載されていました。ちょっとかいつまんでご紹介します。

マットは、「僕は覚えている限りいつも歌を歌っていた。きっとぐずっているときも歌っているつもりだったはずだ。」というほどの歌好き。父親は牧師でオルガンやピアノを演奏し、母親もクラリネットを演奏して歌も歌った。
高校時代にはアカペラで、バージニア州の「SING STRONG(シング・ストロング)」というコンテストに出場。この時、パフォーマンスをするペンタトニックスとも遭遇し、ミッチはマットのサングラスをとって、かけたままステージに上がった。
ペンタトニックスのメンバーは全員、彼は才能があり、努力家で、人柄も良いと讃え、カースティは、ステージでの彼は、「とてつもないカリスマ性が備わっていて、オーディエンスを盛り上げることができる」と言っている。

「ペンタトニックスの新しいメンバー“マット・サリー”のご紹介」ペンタトニックス | ソニーミュージック オフィシャルサイトより筆者が要約。

マットの低音はアヴィに劣らず魅力的。
リズムの激しい曲でのケヴィンのビートボックスとの相性が抜群!
パーカッシヴなベースはアヴィより映えます。
やっぱ、マットは黒人でしかも牧師の息子とくれば、小さい頃からゴスペルも歌っていたことでしょうから、リズム感はバリバリ。

だから新生ペンタトニックスは、これまで以上にグルーヴ感満載で、ポップヒットのカヴァーにもってこい!!

最新アルバム”PTX Presents: Top Pop, Vol. I” の全曲をオリジナルと比較!

では、2018年4月18日に発売された新しいアルバム、”PTX Presents: Top Pop, Vol. I” 、全11曲をオリジナルと比べてみます。

PTX Presents: Top Pop, Vol. I
ペンタトニックス
ジャンル: ポップ
Released: April 13, 2018

Attention

[OFFICIAL VIDEO] Attention – Pentatonix

この曲のオリジナルはこれですね。
Charlie Puth – Attention [Official Video]

原曲の美しいメロディやハーモニーは活かしつつ、よりグルーヴィー。マット・サリーのパーカッシヴなベースが最高!!
後半の盛り上がりでは思わずリズムにのって身体が動いてしまいます。

Finesse

この曲のオリジナルはご存じこれ!
Bruno Mars – Finesse (Remix) [Feat. Cardi B] [Official Video]

ヒットポップというアルバムタイトルとはいえ、ブルーノのオリジナルの完成度が高く、ノリが難しいこの曲をアカペラでカバーするのは至難の技! でもオリジナルをしのぐ出来です。なんといっても驚きなのは、ケヴィンのドラム。ブルーノの曲のドラムに勝るとも劣らない、強力なビートを口で!! そして、随所に魅力的なパーカッション!!

これが全部「くち」って、
「どっかおかしいのか、コイツ!!」
って突っ込みたくなります!!

1コーラス目のリードはスコット。
ミッチとカースティの鉄壁のコーラスをバックに、例によって炸裂しまくります。
かわって2コーラス目のリードはミッチ。
この切ないメロディーにミッチの声がぴったり過ぎ!
息の合いすぎて、ため息が出ちゃうようなコーラスの嵐の底には、むちゃ安定のベース。そのベースラインのセンスの良さったら!

ブルーノの曲といえば、前にも「アップ・タウン・ファンク」をライブで披露していた彼ら。アルバムには入っていませんでしたが、あれも最高のアカペラでした。

New Rules x Are You That Somebody?

[OFFICIAL VIDEO] New Rules x Are You That Somebody? – Pentatonix

この曲のオリジナルはこちら。
Dua Lipa – New Rules (Official Music Video)

Aaliyah – Are You That Somebody (Official HD Video)

まず、この2曲をマッシュアップするセンスが素敵。
ケヴィンとマットのリズム隊がグイグイ来るのが最高です。
このアルバム、マット・サリーのベースが醸し出す素晴らしいグルーヴが、思う存分味わえますよ。

Havana

[OFFICIAL VIDEO] Havana – Pentatonix

この曲のオリジナルはこちら。
Camila Cabello – Havana (Vertical Video) ft. Young Thug

Camila Cabello の歌う"Havana"は、いかにもキューバ出身の彼女らしい、異国情緒あふれる雰囲気の曲。この雰囲気は残しながらも、ペンタトニックスは、ペンタトニックスのためにあるようなオリジナリティあふれた楽曲に仕上げています。
原曲では後半でトランペットでも演奏されてもいる、魅惑的なオブリガートのフレーズは、ミッチが歌っています。
ケヴィンの口から生み出される、名前のないパーカッションの音は最高に曲にマッチして魅力的。こんなビートボックス、売ってたら高くても買います!!

Perfect

[OFFICIAL VIDEO] Perfect – Pentatonix

この曲のオリジナルはこちら。
Ed Sheeran – Perfect (Official Music Video)

恋する女性への熱い思いを告白する、とってもロマンチックなラブ・ソング。
オリジナルは、フィンガー・スナップとギターだけの静かな伴奏にのせ、エド・シーランがていねいに歌います。後半はストリングスやピアノやコーラスも入っても盛り上がります。間奏のギターも素朴でいいです。PV がまた、雪山での恋人同士をドラマチックに描いていて素敵。出てくる猫もかわいい。
さて、ペンタトニックスは、リードはスコット。スコットの最高に甘くロマンチックな歌唱を、ミッチとカースティのバックコーラス、深く心に響くマットのベースが支えます。アップテンポの曲とはうってかわって、静かで落ち着いたベース、歌心に溢れています。
そしてなんといっても聴きどころは、ケヴィンのチェロ。もちろんビートボックスもケヴィンですが、こんな美しく切ない旋律をチェロで奏でながら、あんなリズムを口で歌えるなんて、やっぱり人間とは思えません。

Stay

この曲のオリジナルはこちら。
Zedd, Alessia Cara – Stay (Lyric Video)

原曲は、グラミー賞で「最優秀新人賞」を受賞したアレッシア・カーラがプロデューサー/DJのゼッドとコラボレーションで大ヒットさせた曲。
ミッチはこの曲についてこう語っています。

「大好きな曲。彼女の声が最高。アレッシア一人のコーラスがボコーダーを使うことによって大勢の合唱に聞こえるのも素晴らしいんだ、実際はアレッシアとマシーンの対立なんだけどね。天才的な発想だよ。僕らのカバーは原曲とは違うけど、オリジナルにちゃんとリスペクトを示しているのは聴いてもらえれば分かると思う。」

ペンタトニックス | ソニーミュージック オフィシャルサイト インフォメーション 最新アルバムより

この曲の冒頭はリズム隊は入らず、スコットのリード。コーラスは風の音のように浮遊感のあるフレーズ。歌っているのはミッチでしょうか? 幻想的な雰囲気。リズム隊が入って16ビートになってからも、コーラスの美しさが際立つ幻想的な雰囲気は続きます。スコット、カースティ、最高のファルセットを聴かせるミッチ、とリードを交代しながら、徐々に盛り上がっていきます。そして再びリードとコーラスのみになると、思いきり切ないハーモニーにグッときます。
アルバムのどの曲にもいえることですが、1曲のなかの緩急が絶妙で、期待どおりだったり、不意をつかれたり、しかけも巧妙。なんと素晴らしいアレンジなのでしょうか?

Feel It Still

この曲のオリジナルはこちら。

Portugal. The Man – “Feel It Still" (Official Video)

冒頭はベースソロ。これだけ聴いても十分魅力的。その後ケヴィンが加わり、2人の生み出す強烈なビートは最強になり、このビートが疾走感たっぷりに曲を牽引していきます。リードはカースティから、さりげなくミッチに交代して、かわるがわるリードを取っていきます。リズムのうねりの中、時々入るコーラスはハーモニーはもちろん、もう死ぬほど息ピッタリで歯切れがよく、酔いしれます。

Despacito x Shape Of You

この曲のオリジナルはこちら。
Luis Fonsi – Despacito ft. Daddy Yankee

Ed Sheeran – Shape of
You [Official Video]

「この2曲はビートを聞き比べると共通点があって、だからマッシュアップに向いていていたんだ。カースティンがスペイン語で『デスパシート』を歌っているのが本当にクールだと思うし、『シェイプ・オブ・ユー』のコーラス部分もスペイン語に訳して歌って、オリジナルとは違うものにしてみた。僕らがインスパイアされて試してみた楽しい要素が色々と入った曲になってるよ。」

ペンタトニックス | ソニーミュージック オフィシャルサイト インフォメーション 最新アルバム

このスコットの言葉どおり、この2曲のマッシュアップ、スムーズで違和感のない1曲になっています。芸術的な仕上がりです。イントロは"Shape Of You"。でもそのあと、「いったいどっちの曲だったっけ?」と迷子になります。
Luis Fonsiのオリジナル版『デスパシート』は、ラテンとラップの融合したセクシーな曲。ギターやパーカッションはかなりスパニッシュ、ヴォーカルはかなりラップ、この混沌とした雰囲気がなんとも不思議です。
全編スペイン語で歌っています。
ペンタトニック版は、リードが次々交代、最初ミッチが英語で、次にカースティがスペイン語で、スコットが英語で、という具合。ペンタトニックスバージョンは原曲のエロティックな部分が削ぎ落され、清潔な音楽になってます(笑)。

Issues

この曲のオリジナルはこちら。
Julia Michaels – Issues

原曲は薄い伴奏と、切々と語りかえるようなヴォーカルのみの、淡々とした曲。
ペンタトニックス版は、ため息で歌うようなカースティのヴォーカルが実に魅力的。
濃密なコーラスを加えて、リズムもよりグルーヴィー。
アルバムをとおして聴くと、つくづく声の多彩さに驚かされます。メンバー全員、自在に声を変えられる。驚愕です。

Praying

この曲のオリジナルはこちら。
Kesha – Praying (Official Video)

前半はドラムレスで美しいハーモニーを聴かせます。原曲の荘厳な雰囲気がさらに増しています。後半ではミッチのファルセットとスコットのシャウトがまじりあい、力強い圧倒的な歌唱。激しいリズムでの全員の熱唱のあと、すっとカースティのソロになるのが心憎い。マットとケヴィンのリズムが加わって原曲よりもポップなのに、音楽的にはずっと深みが増しています。

Sorry Not Sorry

この曲のオリジナルはこちら。
Demi Lovato – Sorry Not Sorry

スコットからミッチに代わるリード、マットの超低音でのフィルイン、キレッキレのコーラス、息が合いすぎなマットとケヴィンのリズム隊…。どれを取っても最強で聴きごたえ満点。このアルバム一番のおすすめ曲です。
最後の盛り上がりで、ミッチがファルセットのロングトーンで歌うと、カッコよすぎて、もう息が止まるかと思うくらい。
原曲のいいところだけを濃縮して取り出して、むちゃむちゃハイセンスにしました。

アルバムもいいけどペンタトニックスの真骨頂はライブ!

このアルバムは何度聴いても酔いしれます。
新メンバー、マット・サリーは、ペンタトニックスの新境地開拓に、とても大きな役割を果たしたと言えるでしょう。
このアルバムで、ペンタトニックスの音楽がさらに進化を遂げたのを、私たちは知るのです。

そうそう、アルバムを聴くのも楽しいんですが、彼らの実力を見せつけられるのは、なんといってもライブ!!
私はライブで彼らのCan’t Help Falling in Loveを聴いたとき、この世のものとは思えないほど、素晴らしいアカペラだと思いました。

録音よりも生の方が素晴らしい!!

彼らの歌が本物であることの証明です!

早く日本にこないかな~~?

ペンタトニックスの陰に最強アレンジャーあり!!

そして、私が皆さんにどうしても知って頂きたいのは、この人のこと。
アレンジャー・プロデューサーのベン・ブラムです。

Ben Bram のHPの ”About" のページによれば、始まりは、the SoCal VoCals というグループでスコットとベンが一緒に歌っていたこと。ベン・ブラムは、PTXが、まだ「The Sing Off」に出る前から、彼らを音楽的に支え続けています。アルバムではプロデューサー、アレンジャー、エンジニアとしても参加し、ペンタトニックスもグラミー賞を獲りましたが、ベンも最優秀インストゥルメンタル編曲賞を獲得しています。
また彼は、「グリー」、「ピッチパーフェクト」などのドラマや映画の舞台裏でも活躍しているのです。

もちろん、このアルバムでも全曲をメンバーとともにプロデュースしています。

私は彼のアレンジが大好き。ハーモニーが最高に美しくて、構成がドラマチックで、ちょっとしたフレーズのセンスが抜群なんですね。そしてなんと、彼は歌も上手い!!
是非こちらを見てみてください。
私はこれを初めて見た時ウルウルしてしまいました。見終わって、一緒に見ていた家族にウルウルを見られてはいけないと、ドキドキしてたら、娘もウルウルでした。
ベンは動画の右端の男性です。

Smile (a cappella)

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

大人のあなたに贈る、元気が出るポップス特集もやってます!!

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