akiko “Simply Blue”で 海野雅威のピアノを| ゴニョ研

2018年5月16日ジャズおすすめ

“Simply Blue”!akiko の魅惑のヴォーカルと海野のピアノ

akiko といえば、2001年に日本人女性ヴォーカリストとして初めて、あのヴァーヴ・レコードと契約したことで知られます。デビューアルバム『ガール・トーク』、その後のアルバムでも、ジャズ雑誌主催の賞を獲得したり、ジャズ・チャート1位になったり…。
ジャンルにとらわれない活動でポップスやソウルも手がけ、プロデュースもこなす。
マルチな活躍ぶりですね。

さて、このアルバムは2005年3月、Motion Blue yokohama でライブ録音されました。

私がこのアルバムをどうしても聴きたいと思った理由はただ一つ。

はい、ピアノが海野雅威(うんのただたか)だったからですね。

確かに、海野雅威のピアノは素晴らしい。
しかし、このアルバムの聴きどころは海野のピアノだけではないのです。
ベースはかつてゲッツのバンドやジャズ・メッセンジャーズで演奏した鈴木良雄、ドラムは、ディジー・ガレスピーやソニー・ロリンズなど多くの名演奏家と共演してきたトミー・キャンベル
驚異の安定感と躍動感あふれるグルーヴを持つリズム隊です。

そして、akiko の歌唱は聴きごたえ十分で、オリジナル曲も魅力にあふれています。

パーソネル
akiko(vo)
海野雅威(p)
鈴木良雄(b)
トミー・キャンベル(ds)
セシル・モンロー(ds、on4,5)

akiko “Simply Blue” 各曲紹介

1.Let’s Face The Music And Dance

アーヴィング・ベルリン作曲。オリジナルはフレッド・アステアがミディアムテンポで歌っています。
akiko バージョンは、これでもかというほどのアップテンポでスリリング。疾走感抜群。
ベースもドラムも冴えわたり、ピアノソロは超絶技巧だけれど、決して嫌味じゃないところが素敵。
でも、私はこの曲の何がいいって、やっぱりアレンジです。
このテンポ、コード進行、ピアノソロのあとヴォーカルとベースのデュオになり、終わるとまた全員が入って一気に盛り上がる構成。
ワクワクします。
このアルバムはセルフ・プロデュースで、アソシエイト・プロデューサーとしてベースの鈴木良雄の名前が挙がっています。ということは、アレンジはきっと akiko 。この才能は素晴らしいですね。

歌に関しても、akiko は絶唱もシャウトもないけれど、迫力もあってダイナミクスも豊か。
こんな歌手は珍しい。

2.Speak Low

クルト・ヴァイル作曲、オグデン・ナッシュ作詞。 クルト・ヴァイルはドイツの作曲家でジャズでは、あの「マック・ザ・ナイフ」の作者として有名。あまりにも多くの人が歌っている「スピーク・ロウ」。
このアルバムではけだるい感じのボサノバが、声や歌い方にピッタリ。

3.Same Ol’ Gloomy Song

akiko のオリジナル。スローバラードでしっとりした曲調が彼女の歌声にピッタリ。ため息で歌うような歌唱が切なさを誘います。

4.Old Devil Moon

E. Y. Harburg 作詞、Burton Lane作曲。原曲はゆったりした8ビートで歌われていますが、このアレンジは、前半がアフロキューバン、後半が4ビート。
ホントにしゃれています。
歌も不思議なムードで良い味を出しています。
もちろん上手いのだけれど、何よりも曲に溶け込んで、バンドと一体になって作り出すという感じ。
ヴォーカルの独り舞台でないところがいい。
この曲と次の曲だけ、ドラムがセシル・モンローなんですよね。キャンベルに負けない最高のグルーヴ。

5.Blues No. 8

オリジナルです。スローなブルースが渋い。海野とakikoの掛け合いも絶妙。

6.Whisper Not

お馴染み名コンポーザーでテナー奏者のベニー・ゴルソン作曲、レナード・フェザー作詞。
akiko 、録音時28歳。年齢にそぐわない円熟の歌唱です。
ベースソロも歌心に溢れていて聴きごたえがあります。

7.Do You Know?

akikoと、たなかよしととの共作。
疲れた夜に一人で、この曲に埋もれるみたいに聴きたい。
バックは海野のピアノだけ。
ものすごくドラマチックではないけれど、美しくて優しい雰囲気の演奏。
私は海野さんのこんなピアノが大好きです。
その曲のハーモニーを味わうような、とてもていねいな演奏。
でも、この後、海野さんのこういう味わい深い演奏は、もっともっと深みが増すんですね~~~。
ぜひぜひ、Tadataka Unnno “Jouneyer”で、もっとすごい海野さんの演奏を聴いてください。

8.Night And Day

コール・ポーター作曲の名曲です。
これはドラマチックな凝ったアレンジ。
ゆったりしたラテンぽいリズムから、
パッとアップテンポの4ビートに変わります。
リズムの変わり目が見事!
バックバンドの息が合いすぎでしょう。
ライブ向きですね。これは生で見たい。

9.Not Lovers, Always Friends

これもオリジナルです。いろんな曲が作れる人だなあ。
海野のピアノはものすごく存在感があるのに、
全然歌を邪魔しない!
ソロも弾きまくる時と抑える時とバランスがいい。

フェードアウトしちゃうけれど、
akikoとピアノの掛け合いが
とっても良いです。
やっぱ、このヴォーカル、本当に力があるんですね。

10.Wish You Were Here

オリジナルです。心にしみるメロディーで、いい曲だ。
私は専門的にどういうものか、さっぱりわからないけど、
この曲だけ音響的な処理の仕方が違うのかな?
切ない感じは増していますがクリアな音で聴きたいです。

11と12は、ボーナストラックで、シングルCDのおまけです。
なので試聴はありません。

11.Mood Indigo

これはデューク・エリントン作曲。
フロントもサイドも、全員ほんとに心得ていて、いいバランスですね。
押したり引いたりが絶妙で誰も出過ぎない。
むしろ全員控えめ。
なのに、インパクトは絶大。

12.Watch What Happens

「風のささやき」や「シェルブールの雨傘」など、多くの音楽家が取り上げる作品を書いた、私の大好きな作曲家ミッシェル・ルグランの作品です。おしゃれな曲だわ。
ボサノバだけれど、軽快と言うわけではない、ちょっと曇り空のような大人の雰囲気が素敵。
akiko、最後の方でとてもいい感じにスキャットしてるんだけど、すぐ終わっちゃいました。
エラやサラのように延々とスキャットで歌う、という歌手ではないんだろうけど、もうちょっと聴きたいな。
海野の、ありきたりじゃない抑えたバッキングもソロもとても好きです。
ていうか、バンド全体抑えた感じなんだけど、それがいい。

いや~~~。
これ、思ったよりずっと素晴らしいアルバムでした。

akikoは、絶唱型ではないし、アドリヴバリバリ型でもない。
けれど曲の雰囲気を大切にすること、バックバンドと調和して最高のパフォーマンスをすること、では天下一品。

もちろん海野さんのピアノは素晴らしい!!

でもこのアルバムの録音の2005年から13年たった最近の海野さんの録音を聴くと、僭越だけれど、上手くなったなあと思う。

来年またロイと日本に来てくれるかしら…。

今よりもっと素晴らしい海野さんを夢見て、私もがんばろっと。

大人の夜に、是非こんなアルバムを。

最後までおつきあい、ありがとうございました。

海野雅威のリーダーアルバムの全て、参加アルバムの一部はご紹介記事を書いております。
アルバム一覧はこちらの記事にあります。

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