マーカス・ミラーの名盤”Afrodeezia”を聴こう!|ゴニョ研

2018年5月5日ジャズおすすめ

“Afrodeezia”はマーカス・ミラーの代表作!

エレキ・ベースといえばマーカス・ミラー!
彼の名盤、”Afrodeezia”をご紹介しようと思います。
リリースは2015年。
でも、2018年5月の来日ツアーメンバーのうち、

アレックス・ハン(sax)
ブレット・ウィリアムス(key)

は、この”Afrodeezia”でも共演しています。
私はこのアルバムが大好きで今でもよく聴きます。
アルバム発売前から iTunes で曲を買い、発売当日にアルバムを入手しました。
なんでもマーカスは今、新しいアルバムを制作中だとか。
新しいアルバムでも、このメンバーは登場するのかもしれないですね。

マーカス・ミラーの傑作!音楽のルーツを探る”Afrodeezia”

Afrodeezia
マーカス・ミラー
ジャンル: ジャズ
Released: February 18, 2015

(クリックしてiTunesにて試聴可能)

マーカス・ミラーはユネスコの音楽平和大使として世界各国を回り、奴隷制度の歴史などを今の若い人に広める活動をしています。その中でアフリカン・アメリカンの歴史をたどるためにアフリカを訪ね、アフリカの音楽に惹かれたのが、“Afrodeezia” の始まり。
このアルバムに関する公式インタビューの和訳が、ライナーノーツ(筆者:吉岡正晴)にのっていました。

マリにある音楽、カメルーンやブラジルで聴かれる音楽、ルイジアナにあるブルース、こうした音楽は音楽自体が世界を旅しているんだ。繋がっているんだよね。そして、この奴隷たちにルーツを持つ音楽の歴史に興味を持った。
 そして発見したことは、悲惨な時代に音楽が(人々にとって)大きな助けになったことだ。音楽はそうした文化と密接に関連していて、それらは実に力強い。それぞれのネイティヴな言葉を喋らなくても、いや、しゃべることを許されなかったためか、音楽自体が物語を語っている。だから、音楽そのものがものすごくパワーを持っているのだろうと思う。

そこで、彼は、このアルバムを、ガーナやマリ、ブラジルのミュージシャン、ルイジアナのデルタ地域のミュージシャンたちと一緒に作ろうと思ったのだそうです。

アルバム”Afrodeezia”参加ミュージシャン

Marcus Miller:bass
Alex Han:sax
Lee Hogans:trumpet
Brett Williams:keyboard
Adam Agati:guitar
Louis Cato:drums

このほかにも豪華なゲストミュージシャンが目白押し。詳しくは各曲紹介で。

マーカス・ミラー”Afrodeezia”各曲紹介

1.Hylife

マーカス・ミラーのオリジナル。”Hylife” は、ナイジェリアの音楽のスタイル。マーカス・ミラーのメロディーやハーモニーやアレンジは、見事にこのスタイルに溶け込んでいます。そしてライナーノーツによれば、マーカスは、ナイジェリアの若い音楽家たちが、リズミックで喜びに満ち溢れている伝統的なこの音楽スタイルを継承していることに新鮮な驚きを感じているようです。
リード・ヴォーカルは Alune Wade 。セネガルのベーシスト、作曲家、プロデューサーで、1978年生まれ。

2.B’s River

マーカス・ミラーのオリジナル。彼はこの曲で、ベースのほか、 Gimbri という中東の弦楽器とバスクラリネットを演奏しています。ほかにもCherif Soumano が Kora という楽器を演奏。さまざまなパーカッションが複雑に絡み合っているのが聴き取れます。
Gimbriやベースで奏でる、もの悲しいメロディと、民族楽器が本当に良く合っています。

3.Preacher’s Kid

これもマーカスのオリジナルですが、詞はAlune Wade。
美しすぎるコーラスの声の主は、なんとLalah hathaway とAlvin Chea (Take6 のバス)。イかすオルガンはスナーキー・パピーの Cory Henry。
アフリカの言葉での幻想的なコーラス、バスクラリネット、ガリガリのオルガン、一見ミスマッチなのに、見事なセンスでベストマッチになってます。

4.We Were There

アルバムの中で一番好きな曲! 作曲はDjavan とマーカス。Djavan はブラジルの歌手でギタリスト。1949年生まれ。
この曲もゲストミュージシャンが素晴らしい!!
息をのむような圧巻のFender Rhodes のソロは、ロバート・グラスパー。
スキャットのソロははレイラ・ハサウェイ。
私はこのスキャットとベースとローズの絡み合ったところだけを、何度繰り返し聴いたか分かりません。

5.Papa Was a Rolling Stone

作曲は Barrett Strong と Norman Jesse Whitfield。
1973年の The Temptations のヒット曲のカバーです。
Keb’Mo’というアメリカのブルースミュージシャンがブルースギターを弾いています。このギターとアフリカのパーカッションが妙に合う。トランペットもワウワウしてて、とてもいい雰囲気を出してますね。
テーマのメロディはマーカスのベース! なんとも言えず心地よいです。

6.I Still Believe I Hear (Je Crois Entendre Encore)

もとはビゼー作曲のクラッシックで、邦題は「真珠とり」。
美しい音色のチェロは ジュリアードで学び、24歳でロサンゼルス交響楽団の最年少団員になったという Ben Hong 。
ドラムの Louis Cato が西アフリカの打楽器、Djemba(ジャンベ)も演奏しています。

7.Son of Macbeth

この曲はマーカスのオリジナルで、ラルフ・マクドナルドへのトリビュート・ソング。
ラルフ・マクドナルドは世界的なパーカッショニストで、2011年に亡くなっているので、ちょうどこのアルバムの企画中だったんでしょうかね?
ラルフは作曲家としても功績のある人だったようです。

ラルフとイートンが書いた「ホエア・イズ・ザ・ラヴ」をロバータ・フラック&ダニー・ハサウェイが歌い、これが1972年6月から大ヒット。さらに、1980年、グローヴァー・ワシントン名義で大ヒットした「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」(歌はビル・ウィザース)などを書いている。前者は19ヶ国語、150以上のヴァージョンが録音されたという。ロバータの「キリング・ミー・ソフトリー」でもパーカッションをプレイしている。

●ラルフ・マクドナルド、67歳で死去、セザリオ・エヴォラ、71歳で死去
この、「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」でベースを弾いているのはマーカス・ミラー、パーカッションはもちろんラルフ・マクドナルドですね。ほかにもたくさん共演はあったと思いますが。
もう1点、曲のタイトルに関して。上の記事によれば、ラルフ・マクドナルドの父親が「マクベス・ザ・ビート」と名乗るドラマー、ミュージシャンだったそうです。
この曲で、実に魅力的なスチールドラムを演奏しているのは、Robert Greenidge。ラルフはスチールドラムも得意だったそうです。
この曲の最高のグルーヴを筆頭に、随所にマーカスのラルフ・マクドナルドへの敬意が込められた素敵な曲。

8.Prism (Interlude)

作曲者が、マーカスを筆頭にバンド全員になっています。短いインタールード。

9.Xtraordinary

マーカスの抒情的なオリジナル。ピアノもギターもバスクラリネットも彼。この曲でも、Take6 のアルビンが、とっても低い声で印象的なフレーズを歌っています。パーカッションの、小さい音や一瞬の音が本当に魅力的。是非良いオーディオで聴きたいものです。

10.Water Dancer

マーカスのオリジナル。いかにもマーカス・ミラーらしい曲! 管楽器とベースのユニゾンも素敵です。長いベースソロも、決してスラップのみにとどまらず、メロディアスなフレーズ満載で聴きごたえがあります。

11.I Can’t Breathe

作曲は、マーカス、Chuk D、Adam Domblum、
ライナーノーツによれば、この曲は、2014年のエリック・ガーナー事件から生まれた曲だそうです。エリック・ガーナー事件とは、路上でタバコを売っていた黒人エリック・ガーナーが、警官の職務質問に「放っておいてくれ」と答えたことから言い争いとなり、白人警官に後ろから羽交い絞めにされて殺された事件。羽交い絞めにされた時にガーナーが言った言葉「息ができない(I Can’t Breathe)」は、流行語になり、この曲のタイトルになりました。
ユネスコの平和大使として奴隷制度を伝えるスポークスマンとして活動するマーカスは、この事件に対して物申さずには居られなかったのでしょう。

“Afrodeezia” は音楽界を牽引するマーカスの名盤!

黒人音楽の歴史をたどるような壮大なテーマ、そして音楽界の今後を示唆するような斬新な方向性!
Keb’Mo’や Alune Wade などアフリカの音楽家の起用や、民族楽器を生かしたアフリカのリズムでの曲作りは、マーカスをおいてほかに決してなしえない、独創的な音楽の展開といえるでしょう。
マーカスはユネスコ音楽平和大使として活躍する過程で奴隷の歴史を学び、自らのルーツを再確認しました。
このアルバムは、厳しい環境にありながら音楽を支えに生き延びた人々へのリスペクトに満ちています。
マーカスの音楽活動の集大成ともいえる名盤ではないでしょうか?

マーカス・ミラーが音楽を担当した映画 “Marshall” も興味深い!

実はマーカス、この “Afrodeezia” よりも後に、もう1枚アルバムを出しています。といっても、これは映画のサウンドトラックです。
この映画 “Marshall” は、全米黒人地位向上協会(NAACP)の弁護士として、人種差別が原因で不当に告訴された人々を救う活動をしていた、サーグッド・マーシャルが主人公。この映画、とても面白そうです。
サントラの方もCommon がフィーチャーされた曲や Wynton Marsalis と Jimmy Heath がフィーチャーされた曲などがあり、ストレイトアヘッドなジャズあり、R&B風ありで、非常にバラエティに富んだ曲調で聴きごたえがあります。

Marshall (Original Motion Picture Soundtrack)
マーカス・ミラー
ジャンル: サウンドトラック
Released: September 29, 2017

(クリックしてiTunesにて試聴可能)

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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