マーカス・ミラー2018年ニューアルバム『Laid Black』|ゴニョ研

2018年5月26日ジャズおすすめ

マーカス・ミラーのニューアルバム”Laid Black”がリリース!

マーカス・ミラーのニューアルバム “Laid Black” が、2018年6月1日にリリースされました!!
思ったとおり、前作“Afrodeezia”に比べると、かなりポップというか R&B やヒップホップの色が濃いアルバムですね。

この記事では、Apple Music でこのアルバムを試聴して頂くとともに、ゲストミュージシャンについての情報を過去の音源も含めて詳しくご紹介します。
マーカスがどこを目指して何をしようとしているのか、ちょっとわかってくる気がします。

“Laid Black”はブラックミュージックの混沌とした「今」を切り取る!

さて、では “Laid Black” を聴いてみてください。

Laid Black
マーカス・ミラー

Afrodeezia

←クリックすると iTune で無料で試聴できます。

Tracklisting:
1. Trip Trap
2. Que Sera Sera (feat. Selah Sue)
3. 7-T’s (feat. Trombone Shorty)
4. Sublimity (Bunny’s Dream)
5. Untamed (feat. Peculiar 3)
6. No Limit
7. Someone to Love
8. Keep ‘Em Runnin
9. Preacher’s Kid (feat. Take 6, Kirk Whalum & Alex Han)

ニューアルバムのコンセプトは?

前作、“Afrodeezia” は、ユネスコの音楽平和大使としての活動から生まれたもの。
マーカスが伝えたかったのは、奴隷となったアフリカン-アメリカンが、彼ら固有の言葉を禁じられても、いや、禁じられたからこそ、音楽に支えられて生きたこと。

マーカスは、自身の音楽的なルーツにも焦点を当て、アフリカやブラジルで活躍する音楽家たちとともに、その地の伝統的な民族楽器などもふんだんに取り入れた、独創的な音楽を作り上げてくれました。

私はこの “Afrodeezia” が大好きなんですが、今回のアルバムのコンセプトをマーカスが語っています。

「今回のアルバムでは、最新のアーバン・ミュージック、ヒップホップ、トラップ、ソウル、ファンク、R&B、ジャズを取り入れた内容になっている」

マーカス・ミラーの新作『Laid Black』がブルーノートよりリリース、ARBAN、2018.5.21記事より引用

ジャンルにとらわれない、というか、ジャンルにはまりきらないマーカスの音楽は相変わらずです。

アレンジとしては、前作はアフリカの民族楽器などが多用されていて、どちらかというとアコースティックなアレンジが多かったのが、今回は比較的エレクトリックなアレンジが多い。
“Laid Black” に収録されている楽曲のタイプとしては、ジャズ寄りの曲は少なく、ブルースやヒップホップに寄った曲が目立ちます。
ドリスデイの軽やかな歌唱で知られる名曲を、ホーンセクションを効かせて、ものすごく重たいノリでブルースっぽくアレンジした 2. Que Sera Sera や、演奏もアレンジも、とってもカッコいいけれど歌唱は「これ、ラップじゃ~~~ん」と思える 8. Keep ‘Em Runnin など、意識的に脱ジャズを目指しているのかなという印象です。

ニューアルバムのゲストミュージシャンは?

いつもマーカスのアルバムのゲストミュージシャンの人選は新鮮で、驚かされます。
信頼できるジャズミュージシャンで固めれば楽なんでしょうが、そうはならない。むしろ新人発掘や異色のコラボレーションでの成功をミッションとしているのだと思います。

さて、では、”Laid Black” のゲストミュージシャンの演奏や音楽歴などをご紹介します。

このゲストミュージシャンの人選には、かなりの思い入れがありそうです。

ゲストには「ジャズについて僕と同じビジョンを持つ」という、トロンボーン・ショーティ、カーク・ウェイラム、ジョナサン・バトラー、コーラス・グループのテイク6、ベルギー出身のシンガー、セラ・スーなどを迎えている。

マーカス・ミラーの新作『Laid Black』がブルーノートよりリリースARBAN,2018.5,21記事より引用

トロンボーン・ショーティ

ほう…。トロンボーン・ショーティって誰???
こんな人です。

本名:トロイ・アンドリュースは、ジェシー・ヒル(“Ooh Poo Pah Doo”の作曲者)の孫にあたる29歳のアーティストだ。ブラス・バンドで演奏しながら育ち、レニー・クラヴィッツやギャラクティック、ドクター・ジョン、エリック・クラプトンとレコーディングを行い、U2やエアロスミス、ジェフ・ベックとステージで共演し、ホワイトハウスで演奏を披露したこともある。2010年にはベン・エルマンのプロデュースによるアルバム『Backatown』をヴァーヴからリリースし、グラミー賞にノミネートされた。現在のニューオーリンズにおいて前途有望な、将来を期待されている人物だ。

トロンボーン・ショーティやビッグ・フリーダら世界を刺激するニューオーリンズの若いアーティストたち / New New Orleans、「Mikiki」より引用

では Youtube で彼の演奏を聴いてみましょう!

Trombone Shorty – Here Come The Girls (Audio)

2017年リリースの “Parking Lot Symphony” に収録されている曲です。
確かにニューオリンズ。そしてロックというかジャズというかファンクいうか…。
ノンジャンル具合がマーカス・ミラーとよく似ていますね。
かっこいいわ~~!!

カーク・ウェイラム

スムースジャズのサックス奏者といえば、カーク・ウェイラム。
キャッチーなメロディと美しいハーモニーの曲を、透明感のある音で奏でてくれる。
音の美しさとフレーズのセンスの良さは、デビッド・サンボーンにも勝るとも劣らないものです。
で、やっぱ音楽の底流にブルースとかゴスペルが感じられる。
シビレます。
ボブ・ジェームス、クィンシー・ジョーンズ、ホイットニー・ヒューストンらとの共演で知られ、グラミー・ノミネートの常連です。

Youtube でこんな動画を見つけました!
絶対聴いてほしい!
Kirk Whalum – It’s What I Do – 2011 Grammy Winner!

この曲 ”It’s What I Do” はカークと Jerry Peters の共作で、レイラ・ハサウェイが歌い、2011年にグラミー賞を獲りました。
もちろん動画で歌っているのもレイラです。聴きほれる歌声でしょう?
もうねえ、むっちゃうまいっていうのは、こういう歌手のことを言うと思うんですよ。
カークのソロもメロディアスで最高です。

ジョナサン・バトラー

南アフリカケープタウン生まれ。ポップス、ジャズ・フュージョンのシンガー。
アパルトヘイト下の南ア・ケープタウンに生まれ、幼少期から歌や弦楽器に親しみ、1985年にメジャー・デビューしポップスのほか、ゴスペルやジャズもてがけ、ジョージ・デュークのアルバムにも参加している。

「ジョナサン・バトラー」(2016年12月5日 (月) 15:58 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』より抜粋

ほ~~。
そんでもって、この人は1985年に “Lies” という曲を大ヒットさせ、グラミー賞、最優秀男性R&Bヴォーカル・パフォーマンス賞を獲っています。
この曲は、ポップな時のアル・ジャロウみたい。
歌もなかなかのもので、おまけにスキャットしながらギターソロしてます。
ジョージ・ベンソンに作曲能力を加えて、自己陶酔を取り除いた感じですかね。

それ、とってもイイ感じじゃないですか?!

それにこのジョナサン・バトラーさん、、ジョージ・デュークのアルバムに参加するとは、かなりの強者!
私、この人知らなかったので、動画をあさってみましたが、静かな曲ではアール・クルーばりに美しい音と超絶技巧で聴きほれます。

もう、うっとり。

で、ここでご紹介する動画は東京のコットンクラブでのライブを編集したもののようですね。
歌物が多いですが、ジョナサン・バトラーのギターソロ54秒から聴けます。

JONATHAN BUTLER : LIVE @ COTTON CLUB JAPAN (Sep.18,2013)

“Afrodeezia” でも、マーカスは、セネガルのベーシストで作曲家でもある Alune Wade と共演していました 。自分の音楽のルーツとして、アフリカを強く意識しているのだろうし、アフリカの音楽家へのリスペクトも深いのでしょうね。

セラ・スー

ベルギー生まれで高校時代からMySpaceに投稿することで音楽活動を始め、多くのファンの心をつかんだ。プロデューサーにも才能を見いだされてプロデビューを果たす。
シーロー・グリーンは彼女とのデュエットを自らのアルバムにも収録し、そしてあのプリンスは、2010年秋の、ベルギーのアントワープ公演でのサポートをオファーした。

セラ・スー、プロフィールワーナーミュージック・ジャパンHP より抜粋

なるほど。では、Youtube で、セラ・スーの歌を聴いてください。

Selah Sue – Reason

なかなか魅力的な歌声ですね。
独自の世界観がありそうです。
かなりポップな感じなので、マーカスとの出会いがどんなだったのか、知りたいところですが。

確かに、彼女の歌声と「ケセラセラ」のアレンジとは、むちゃくちゃベストマッチです。

Take6

Take6 は、このブログでも何度も取り上げている、アメリカの驚異のアカペラグループです。
男性6人組で1980年に結成され、ゴスペルを基盤にジャズ、R&B、ソウル、ポップスと、ジャンルに縛られない活動をし、10 のグラミー賞を獲得しています。
Take6 の2002年リリースのアルバム “BEAUTIFUL WORLD” のプロデュースはマーカス・ミラー。
そしてマーカスの前作 “Afrodeezia” では Take6 のアルビンが参加していましたから、なかなか濃厚な関係ですね。
Take6 の最新アルバム “Iconic” (2018年4月リリース)は、このブログでもは詳しくご紹介しています。試聴もできます。

音楽にジャンルって必要なのか?

こうしてみると、マーカスはもちろん、ゲストミュージシャンたちも、なんだかみんな既存の音楽ジャンルに当てはまらない人達ばっかりですね。
アメリカの音楽界はジャンルごとのラジオ局がヒットを作っていくから、ジャンルは大事なんだろうなあ。
でも、やっぱ、私はマーカスの音楽は、どこにも属さなくてもいいと思うんです。
スティーヴィー・ワンダーだって、アース・ウィンド・アンド・ファイアーだって、クインシー・ジョーンズだって、ジャンルが何かわからない。
世界中の音楽家から尊敬されるジャズ・トランペッター、ロイ・ハーグローヴだって、モロジャズバリバリの人だけど、RHファクターではソウルやヒップホップ色が強くなるし、ロイのクインテットのステージでは、サム・クックやマイケル・ジャクソンのヒット曲が18番。

みんな自分のやりたい音楽をやって、その結果ノンジャンルになっても何も問題ない。
もっといえば、どこにもあてはまらない、その音楽家独自の世界をドンドン作っていけばいいと思うんですぅ。

ジャズ好きな人って
「これはジャズじゃない」
とかって、よく言う。
伝統的な形式にこだわる人も多い。
そもそも「ジャズって何」ってとっても難しい問題。
素晴らしい音楽なら、私は演歌だって好きだわ。
今んとこ好きな演歌は1曲だけですけど。
今度また、その曲をご紹介しますね。

ニューアルバム『Laid Black』でさらに進化したマーカスの世界を聴こう

『Laid Black』と、そのゲストミュージシャンの世界、いかがでしたでしょうか?

トロンボーン・ショーティの濃厚なソウルを持つトロンボーン、カーク・ウェイラムの歌心あふれるサックス、ジョナサン・バトラーの繊細なギター、テイク6の超絶コーラス、セラ・スーの個性的な歌。

一見、まとまりにくそうなこのメンツを、見事にまとめた彼のアルバム!

ぜひぜひ Apple Music でフルバージョンを聴いてみてくださいね!!

最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。

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