Take6 知らなきゃアカペラファン失格!Take6 NewAlbum “Iconic” |ゴニョ研

2018年5月10日ジャズおすすめ

今回は、待ちに待ったTake6 の新しいアルバム、"Iconic" をご紹介します。

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Take6 ってどんなグループなの?

Take6 はグラミー賞を10回もとっている驚異的グループです。
彼らのアカペラは神業で、世界中のアカペラグループが彼らを真似ようと必死ですが、誰も彼らの領域には到達できません。

Take6は1980年代からプロとして活動を開始し、Take6 として16枚のアルバムを制作しているほか、クインシー・ジョーンズ、スティービー・ワンダー、マーカス・ミラー、レイ・チャールズ、Four Play、ジェイコブ・コリアーなど、多くの実力ある音楽家に乞われ、彼らのアルバムに参加しています。
Take6 の音楽の基盤はゴスペルですが、ジャズの要素をふんだんに取り入れています。
アカペラ、つまり歌のみで楽器を使わない音楽が基本ですが、楽器を取り入れた曲もたくさんあります。

悲しいことに Take6 は、実力のわりに爆発的なヒットは多くないんです。
アメリカのヒット曲は、ラジオで多くかかることが重要です。
けれどもアメリカのラジオ局はジャンル毎に分かれているので、ジャズとゴスペルとポップスをクロスオーバーしているような、ジャンル不明な彼らの音楽は、オンエアされにくいんですね。

Take6 の"Iconic" を聴こう!やっぱり Take6 は世界一

そんな Take6 のアルバムが2018年4月にリリースされました。
“Iconic" です。
このアルバムのプロデュースは Take6 のメンバーのマーク・キブルとデビッド・トーマスですが、Excutive album producer として、レコード会社 SRG (Sound Recording Group) の創設者、クロード・ヴィラニの名前があがっています。
今回はゲストミュージシャンはなし。
タンバリンなどはありそうですが、ほとんど彼らの声だけで作られたアルバムです。

Back In Love

1977年のL.T.D.(Love Togetherness and Devotion) という R&B のバンドのヒット曲です。作曲は Len Ron Hanks (レン・ロン・ハンクス) と Zane Grey (ゼイン・グレイ)。
原曲を演奏する L.T.D.は11人で分厚い管楽器隊がいて、バリバリのディスコサウンドをぶちかまし、ヴォーカルはジェフリー・オズボーン。

迎え撃つ Take6 は、当然のことながら6人こっきりなのに、L.T.D.よりもむしろ重厚な、現代的ノリノリサウンドに仕上がっていますね。
使ってる打楽器はタンバリンとハンドクラップでしょうか?
ヴォーカルを最大限に音楽的にする方法を、知り尽くしたアレンジ!
アレンジャーはクリスチャン・デントリーです。
イントロからやられます!!

私は前メンバーだったセドリック・デントの書く美しい曲や、巧みなアレンジ、華麗なピアノの大ファンだったので、正直、クリスチャン・デントリーに代わってしまった時に悲しかった。
でも、このクリスチャンのアレンジの素晴らしいこと!
いっぺんで好きになりました。

Can’t Stop The Feeling

Justin Timberlake が歌い、2016年に大ヒットさせ、グラミーも獲りました。Timberlake、Max Martin、およびShellbackによって書かれました。オリジナルもとっても楽しくて踊りたくなる名曲で、老若男女がいろんな場所で次々に踊る動画もチャーミングです。

そして、Take6! 曲の冒頭はボイスパーカッションはなしで指パッチンだけ。
なのに最強のグルーヴ!
これはメロディーやらコーラスやら、どのパートの歌唱もリズム感に溢れているから。
彼らの歌う1音は、その音の持つ威力が他のシンガーより格段に大きい。
そして、なんといってもアルビンの歌うベースは、驚異のグルーヴ製造器です。

1度、なるべく低音がしっかり聴こえるイヤホンで、ベースだけを聴くつもりで聴いてみてください。
恐ろしくハイセンスなベースラインで、ゾクゾクするほどいい声です。

ファルセットのコーラスも素晴らしい。
ブレイクして何かしゃべって、また始まって、最後は笑って終わり。
こんな茶目っ気たっぷりのアレンジは、マーク・キブルの仕事!
笑い声まで音楽的です。

Change The World

1996年にエリック・クラプトンが歌って大ヒットしましたが、作曲はトミー・シムズ、ゴードン・ケネディ、ウェイン・カークパトリック。
クラプトンのバージョンも実はカバー。
オリジナルは別の人です。

クラプトンのスタジオ録音盤の “Change The World" はジョン・トラボルタ主演の映画「フェノミナン」の主題歌でした。
ご紹介している動画はライブ。
スタジオ録音盤に比べるとずいぶん躍動的なアレンジです。
バックミュージシャンは、ドラムがスティーヴ・ガッド、ベースがネイザン・イーストと、超豪華。
そりゃ、むちゃむちゃ躍動的になるはずです。
ハモンドオルガンもうまい!

でも Take6 の歌も負けていません。。
センスに溢れたリハーモナイズと、どうしてこんなこと思いつくのかという圧倒的なコーラスアレンジ。
このアレンジもマーク・キブルによるものです。

Saling

1979年のクリストファー・クロスのヒット曲。
私もこの曲の入ったアルバムを持っていて大好きでした。
美しい曲。

Take6 のバージョンは、原曲のアレンジを大切に、ギターのアルペジオのバッキングも歌っています。
こんな風に歌うのかと驚き、自分でマネしてみたら聞くに堪えない気持ち悪さでした。
イントロは Take6 ならでは。
美しすぎるハーモニーに酔いしれていたら、ボイスパーカッションが始まって、次がアルビンのベースソロ。
もう心をわしづかみにされます。
この素晴らしい構成のアレンジはデビッド・トーマスの仕事です。
彼らにかかると、どの曲も最初からアカペラで歌うために作られたかのようです。

Don’t Know Why

ジェシー・ハリス作曲。
2002年にノラ・ジョーンズがカバーして大ヒットしました。
この曲の入った彼女のアルバムは今でも私の愛聴盤です。

Take6 バージョンは、アルペジオをうまく使った、アコースティックギターのようなロマンチックなバックコーラスが印象的。
アルビンの渋いベース、そしてフィンガースナップで、リードを支えています。
これでボイスパーカッションがなくても、十分リズムが感じられます。
ハーモニーの美しさも格別。
アレンジャーはマーク・キブルです。
リードの (Mark Kibble でしょうかね?) 上手いことと言ったら、泣けてきそうです。

そういえば、前にブルー・ノートで彼らの公演を見た時、Mark Kibble の御嬢さんが客席にいて、ステージ上で彼が娘さんを紹介してました。
息をのむくらい美しい彼女は自慢の御嬢さんらしく、Mark Kibble はとっても嬉しそうでした。
娘さんは「もう、パパやめて」って感じだったんですが(笑)。
Take6 のメンバーって、本当に人柄もよさそうなんですよね。

Got to Get You Into My Life

1966年のビートルズのヒット。
レノン&マッカートニーの作曲です。
原曲も、ビートルズには珍しくホーン・セクションをフィーチャーしたアレンジです。

1971年のアース・ウィンド&ファイアーのバージョンでは、3連のリズムが際立ってギターやホーン隊も前面に出ています。

さて、Take6 のバージョンは、E.W.&F.に近いですが、もっと振り切って完全にジャズ。
E.W.&F.でギターとホーンがユニゾンしていた印象的なリフを、Take6 はコーラスでやってます。このリフをハモろうなんて、もう完全にハモりオタク。

この曲の短い試聴を聴いただけで Take6 がどれほど素晴らしいアカペラグループか、わかって頂けると思います。
イントロの管楽器のような声とスキャットの絡みは絶妙ですし、フィリップ・ベイリー顔負けのファルセットもお見事。
ヴォーカルだけで E.W.&F.のような迫力を出している驚異のアレンジは、マーク・キブルとデビッド・トーマスの合作です。

All This Love

1982年に DeBarge が歌ってヒットした曲。
オリジナルは、しっとりした曲調を大切にしつつ、アコースティックギターをフィーチャーし、管楽器もストリングスも入るアレンジ。

Take6 バージョンは、原曲のメロディ・ハーモニー・雰囲気は大切にし、コーラスのリフもそのまま使ったりしています。
が、全体的により洗練され、聴きごたえのあるものになっています。
アレンジは マーク・キブル。

Could It Be I’m Falling In Love

1972年の The Spinners のヒット曲。
作曲はトム・ベル。
スタイリスティックスの ”You Are Everything"、"Betcha by Golly, Wow”、”You Make Me Feel Brand New” などを書いた(「トム・ベル」(2018年4月9日09:06 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』より)、R&B界きってのメロディメーカー。

このオリジナルも歌唱力はもちろん素晴らしいしアレンジも上手い。
でね、もうひとつ、この曲のラリー・カールトンのカバーが最高なんです。
もちろん、ギターでメロディを弾いたインストゥルメンタル。
ラリーのギターの上手さが光ります。

さて、回り道しましたが、Take6 です。
ボイス・パーカッションと歌だけで計6人なのに、原曲よりも力強く音が分厚く感じるのはなぜなんですかね?
録音だから1人何役もやって重ねてるだろうって思うでしょ?
いやそれがねえ、おそらく、そんなに重ねてないだろうと思うんです。
彼らをライブで聴くと、CDよりもむしろグレードが高いくらいの出来なんです。
ということは、そんなに取り直したり重ねたりしてないだろうと思うんです。
とても洗練されているのに、70年代ソウルの懐かしい雰囲気もちゃんと出ている素晴らしいアレンジはデビッド・トーマス です。

Roof Garden

オリジナルは、1981年にリリースされたアル・ジャロウのアルバムの中の1曲です。作曲は、Tom Canning, Jay Graydon, Al Jarreau。このアルバムはグラミーも獲っていて、プロデューサーはギタリストとしても有名なジェイ・グレイドン。
ベースはエイブラハム・ラボリエル、フェンダー・ローズはジョージ・デューク、ギターはジェイ・グレイドン、ドラムはスティーヴ・ガッドと超豪華メンバーです。
このオリジナルの YouTube もぜひ聴いてみてください。

原曲でも、アル・ジャロウが、人間業とは思えないスキャットのソロを聴かせていますが、Take6 バージョンでも、アルに負けないソロが聴けます。
途中、メンバー同士でゴスペルのコール&レスポンスみたいな掛け合いもあります。

なんて盛りだくさん!!
サービス精神が旺盛すぎですね。
この Take6 バージョン、抜群の個人技と神業のコーラスアレンジとで、超豪華メンバー勢揃いのオリジナルに負けず劣らずの素晴らしい出来です。
この曲に新たな息吹を吹き込んでいます。
アレンジはマーク・キブルです。

そうそう、前に Take6 のリーダー、クロード・マックナイトのソロコンサートに行ったとき、アル・ジャロウの死を悼(いた)み、アルの功績を讃え、彼の曲を歌ってくれました。

Take6 のアルバム “The Standards" では、アル・ジャロウがゲスト参加していたし、クインシー・ジョーンズの伝説のアルバム “Back On The Block" でも “Wee B. Dooinit (Acapella Party by the Human Bean Band)" という曲をなんと、サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルド、アル・ジャロウ、Take6 という超豪華メンバーで歌っていました。
そして、そのコーラスアレンジには、マーク・キブルも参加していました。
クインシーにも頼られるアレンジの腕!
しかし、このメンバーがそろって歌うところ、見たかったわ~。

Nothing But The Blood

聖歌です。447番『罪のけがれを』。

いや~~。同じ曲ですよ。なんてしゃれた聖歌でしょう。この脱帽のアレンジはマーク・キブルです。16ビートでこんなノリの良い聖歌が毎日聴けるなら、喜んで神にこの身を捧げますよ。

Take6 は全員がむちゃむちゃ敬虔(けいけん)なクリスチャンですから、こんなふざけたこと言ったら、マジで説教されちゃうかもです。まさに『罪のけがれを』洗い流したいです。ごめんなさい。

“Iconic"リリース後の Take6 の活動は?

最近の Take6 の活動、知りたくないですか?
それがね、なんと、クィンシーが強力にバックアップする驚異のマルチプレイヤー、ジェイコブ・コリアーとコラボしています。
2018年7月19日、 BBC Proms の"Jacob Collier & Friends"で、共演しているんですね。
事の起こりは、ジェイコブが Take6 の大ファンだったことだと思うんです。
ジェイコブのファーストアルバムに収録されている “You and I" をジェイコブのアレンジでTake6とアカペラしています
これはね、テレビ出演。
ジェイコブ・コリアーがリードですが、 Take6 のメンバーにも負けない歌唱力!

最高ですよ!
そうそう、この曲のアレンジで、ジェイコブはグラミーを獲っているんですね。
Take6 もジェイコブ・コリアーのことを絶賛しているようです。
もうすぐ来日するジェイコブ・コリアー、ぜひチェックしてみてくださいね。

アカペラの傑作 “Iconic" は Take6 の真骨頂!

Take6 のニュー・アルバム、"Iconic" 。いかがでしたか?
何度も耳にしたヒット曲だから、彼らの素晴らしさがとっても分かりやすいですよね。
私は、全曲、間違いなくオリジナルより Take6 バージョンが好きです。
しかし彼らは、オリジナルの曲が全て大好きだったんでしょう。
オリジナルやヒットしたカバーのアレンジへのリスペクトがひしひしと感じられます。
それでいて、Take6 の世界が存分に味わえる、素晴らしいアルバムです!

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

アカペラ情報満載の記事をたくさん書いてます!!

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