あなたのだらだらを「小さな習慣」が解決します!|ゴニョ研

2017年11月30日へなちょこ情報

本文中の引用は全て下記の書物からのものです。記載ページは引用文の文末に( )で示しました。
スティーヴン・ガイズ、「小さな習慣」、田口未和訳、ダイヤモンド社、2017年

自己啓発本なのにおもしろすぎる!

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との表示が出ていた。ずいぶん売れているらしい。

私は、この手の自己啓発本を何冊も持っている。なんといっても極めつけは、「定時に帰る!」で始まる、仕事の効率化を勧める本を10冊近く読んだのに、毎日残業しまくって8時前に職場を出るのはまれだったことだ。

だいたい自己啓発本を読み始めると、「この本の教えに従うことは不可能ではないだろうか」と不安になる。高い目標を掲げて必ずやりぬけと拍車をかけられる。読後感は「どうせ無理」という暗い気持ち。

それに、自己啓発本は自慢話の連続で構成される、著者の自分史であることが多い。「あんたができたのは、高学歴で偉大な業績を残せるような資質があったからだ。私は無理だ」と食ってかかりたくなる。

だが、この本は違う。そもそも、睡魔や疲労で30分の筋トレという目標が達成困難に思われた著者が、腕立て伏せ1回ならできそうだと考えてやってみたことを、

私の成功の第1歩は「腕立て伏せ1回チャレンジ」だったのです!

とたいそうに言われても、「さいでっか」と返したくなる。ギャグのようだ。

この「小さな習慣」の提案そのものもかなりユニークだが、著者の記述はたびたび非常にユニークでユーモアに満ちている。

モチベーションに頼っていると熱意の減退によって習慣化が定着しないことの説明では、こんな風だ。

「熱意減退の法則」は私が考えた用語です。「限界効用逓減(ていげん)の法則」という経済法則よりはずっとわかりやすいのではないでしょうか。この経済原則は、4枚目のピザを食べる楽しみは3枚目のピザを食べる楽しみよりほんの少し薄れ、5枚目になると4枚目よりさらに薄れることを意味します。行動の繰り返しもこれと同じです。(P72)

「1日50ワード書く」という目標が、どんな状況でも達成でき、かつこの目標の「小ささ」のために常に目標以上の成果があげられることは、以下のように説明される。

真夜中に頭痛に襲われて、しかも疲れ切っているというのは、最悪の状況です。「レム睡眠は心地いいわよ、スティーヴン」と、ベッドが誘いかけているような気がします。私はどんよりした目で暖かそうな布団のほうを見つめ、こう答えます。「すぐに行くよ、愛しい君」。私が自分に義務付けた課題はごく簡単なものだったので、1分だけ時間を使い、それで終わりにしようと決めました。ところが実際に始めてみると、1000ワードも書いていました。(pp108-109)

「小さな習慣」を根付かせるアメとムチの巧みな技に脱帽

「なんだ。それだけのこと?」

この本を読み始めた私の印象はこれ。

ところが、この本は結果的に私に「小さな習慣」を根付かせ、だらだらしがちな日常を変えられるという自信を与えてくれた。現在も目標に向かって努力しているという実感がある。

この本は、理論的だが感情に訴えかけるのも巧みで、著者はアメとムチを駆使して読者を「小さな習慣」の形成へと導く。

著者スティーブンは、脳や心理の研究結果を随所に引いて説明する。たとえば、モチベーションは感情に基づくもので自己コントロールは困難であるため、モチベーションに頼らず意志の力を強化しようと鼓舞する記述は以下のようなものだ。

自己管理研究の第一人者であるロイ・バウマイスター教授は、1999年の実験で、2週間かけて姿勢を正す努力をした学生は、そうしなかった学生と比べて意志力が鍛えられ、「それに続く自制心の調査でも、明らかな改善が見られた」と報告しています。別の研究では、2か月間有酸素運動を続けると自制心を必要とする別の種類の活動まで改善する効果があるとわかりました。

これは自己改善の金脈です。これらの研究結果は、私たちが自分自身を成長させる能力を強化できることを示しているのですから! (p77)

うってかわってスティーブンは、出来の悪いわが子を溺愛する母親のように励ましてくれる。

小さな習慣を使えば、世界中のだれよりも、あなたの人生を変えるチャンスが高まります。習慣が長続きしないのは、自分自身に問題があると考える人が多いようですが、本当はやり方が間違っているだけなのです。小さな習慣なら、罪悪感に悩まされることも大きすぎる目標に怖気づくこともなく、望んでいたものが手に入ります。(p2)

ステップを実行するだけ!無理なく「小さな習慣」を始めよう!

この本は、また、非常に実践的である。実践的であることは自己啓発書にとって最も重要なことだ。

スティーブンは、この「小さな習慣」を確実に実行するために、読者の生活に則した細かな指示を与えることも忘れない。後半では、実行のためのステップを8つに分けて説明している。

中でも私が特に有用だと思ったのは

  • ステップ3 行動開始の合図を決める(p153)
  • ステップ4 報酬プランを考える(p169)

である。

私は実際にこの2つを使って、自分でも「小さな習慣」の形成に取り組んでみることにした。

ステップ3 行動開始の合図を決める

行動開始の合図には時間ベースのものと行動ベースのものがあると著者は説明し、以下のように例を挙げている。

  • 時間ベース:月・水・金の午後3時にジムで運動する(p153)
  • 行動ベース:月・水・金の昼食を食べ終わってから30分後にジムへ運動しに行く(同上)

私は、ジャズの理論を7年も勉強しているのに基礎的なことさえ、全く身についていない。そこで、この「小さな習慣」の方法を利用して、毎日ジャズ理論を勉強することにした。

私は毎日必ず洗濯をするので、洗濯物を干すことを行動開始の合図にしたのだ。それから毎日私はベランダでジャズの代理コード(ジャズっぽい響きにするために本来のコードの代わりに使うコードのこと)を言うようになった。2つ1組で6組、12個のコードの名前を言うだけだ。最初のうちは、なかなか思い出せず、10分以上かかって言っていたが、続けるうちにすっかり覚えて1分もかからずに言えるようになり、今はもう少し難しい課題も言っている。隣人から苦情がこないか心配である。

ステップ4 報酬プランを考える

スティーブンは行動形成初期には特に頻回に、脳に十分な褒美が与えられるべきだと言っている。また、ケーキなどのような一次的な報酬と、行動の結果得られた達成感や満足感などの二次的な報酬とを意識して組み合わせ、さらに面白い動画を見るなどのクリエイティブな方法も取り入れろと教えてくれる。

私は2つ目の小さな習慣として「1日1行はブログを書くこと」をあげた。このステップ4のおかげで、私は初期には特に頻繁にチョコを食べ、好きなジャズを聴き、コーヒーを飲んで毎日ブログを書いた。おかげさまで毎日ブログを書き、毎日体重が増加している。

「小さな習慣」なら劣等感ともさようなら

スティーブンは飽くまで小さな目標にこだわる。目標がやすやすとクリアされ、もっと高みを目指せると確信しても、目標は小さくしておけと言うのだ。それは、

やりそこなってもいいわけができず、失敗を恐れる必要はなく、罪の意識を感じずに済むから(p195)

である。そして、こう説くのである。

小さなステップはあなたの歩みを止めません。それが成功の秘訣なのです。(p195)

と。

実際の行動はどんなにステップアップしていっても良いが、目標はそのままに。

そんなことを私に言った人間は今まで一人もいない。できない自分、達成困難な自分を恥じる必要のない人生へ、道が開かれたのだ。とても高尚な哲学書を読んだような気持ちで私は嬉しかった。私は浮かれて、もうひとつ小さな目標を設定することにした。

私はピアノが上手くなりたい。私の第3の目標は「ピアノの前に座ること」。

この目標を掲げてから、ピアノの前に座ることなく床に入った日もあったが、夜中に慌てて起きてピアノの前に座り、座ったら、ちょっと楽譜を見て頭の中で音を鳴らしてみるくらいはできた。それだけでも不思議と達成感があるのだ。あきらめないでピアノを続けていこうという気持ちになる。前には1日練習をさぼると何となく暗い気持ちになって次の日もさぼりがちだったが、「練習をさぼっている」と自分を責めることなく、次の日もまたその次の日も、多い日は1日1時間、私はピアノを弾いている。

手元にあるだけで著者に励まされている気持ちになる本!

とにかく小さな1歩を踏み出し飽きずに継続することが重要だ。自分をなだめたりすかしたりしながら継続するうちに、おのずと意志の力は鍛えられる。この本は、「小さな習慣」を根付かせる、その過程そのものが、より良い人生なのだと、全く押しつけがましくなく、教えてくれる。

手元に置いておくだけで「少しずつで大丈夫だよ」と私を励ましてくれるのだ。

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