方向音痴な女のひとり旅!名古屋→東京ブルーノート編(2)|ゴニョ研

2018年3月8日笑える小話と家族のエッセイ

最高のライブと「Ms.妖艶」と「Mr.イェイッ」

ジャズのライブでは、音楽家がかっこいいことをすると会場から声がかかる。
決まった型はないけれど、歌舞伎の大向こうみたいだ。
通のかける声はタイミングも声も音楽的で、声がかかると音楽家がのってくるのもわかる。
歌舞伎みたいに声をかける人が組織立っているわけではないが、これもジャズのライブの一つの醍醐味(だいごみ)だ。

私もよく声をかけるけれど、どうも決まらない。
どうも今一つだよな、などと思っていたら、

隣の席の女性の掛け声が、しばしば聞こえてくることに気付いた。

それを聞いて、私は驚いた。

たいそう美しい30代前半と思しき女性は同年代の男性と二人連れだった。

私は、20代前半の頃、てっとり早く稼ぐために夜働こうと、スナックだのバーだのに面接に行った。

娘に言わせると、私は、外見的にも内面的にも、そういう仕事が務まるわけがないらしい。もちろん、すべての店で面接官のおっちゃんに、即座に一笑に付されて不採用となり、たいそう傷ついた。

隣の女性は、そんな筆者とは対極をなす妖艶ぶりで、女の私でもちょっとドキドキするくらいである。なんとも、この店の雰囲気にピッタリだ。筆者と彼女が同じ性でくくられるのが信じがたいくらいだ。女性もいろいろである。

でも、このMs.妖艶、どうも掛け声のタイミングが外れる。
お連れの男性との会話からブルーノート常連のようだが。

Ms.妖艶
イェーイ!!!

ガッツ
(えっ? なぜ今?)

Ms.妖艶
ヒューッ!!!

ガッツ
(あれれ?)

Ms.妖艶
イェイッ!!!

ガッツ
(何がよかったかな~?)

同じブルーノートでも東京は名古屋と違って、お客さんも通が多いのか、アドリブの終わりの拍手や掛け声のタイミングは、実に的を射ている。
そんな中で、ミス妖艶はひとり気を吐いていた。

1stの最後には涙物の海野さんのソロも聴けて、感動の内に終了。
さあ、いったん会計して再度ロビーへ出た。