ウィントン・マルサリス スタンダードタイム Vol.3|ゴニョ研
- 1. 寛ぎの時間を!Wynton Marsalis Standard Time Vol.3
- 2. “くまんばちの飛行” ウィントンの超絶技巧をご披露!
- 3. ウィントン・マルサリスは上手すぎておもしろくない?
- 4. ジャズの先達への敬意があふれる Marsalis 親子の演奏を堪能しよう
- 5. これもトランペットなの? と思うほどの音色の変化にびっくり
- 5.1. 6曲目 “The Seductress (ザ・セデュクトレス) ”
- 5.2. 7曲目 “A Sleeping Bee (ア・スリーピング・ビー) ”
- 5.3. 8曲目 “Big Butter and Egg Man (ビッグ・バター・アンド・エッグ・マン) ”
- 5.4. 9曲目 “The Very Thought of You (ザ・ベリー・ソート・オブ・ユー) ”
- 5.5. 10曲目 “I Cover The Waterfront (波止場にたたずみ) ”
- 5.6. 11曲目 “How are things in Grocca Morra (ハウ・アー・シングス・イン・グロッカ・モーラ) ”
- 6. “My Romance” ビル・エバンスとラファロの最後の名演も!!
- 7. “Skylark” とにかくウィントンの音色の美しさに聴きほれる!
- 8. Herlin Riley (ハーレン・ライリー)の音への飽くなき探求に脱帽!!
寛ぎの時間を!Wynton Marsalis Standard Time Vol.3
今回ご紹介するのは、トランぺッターとして、ジャズでもクラッシックでも不動の地位を確立しているウィントン・マルサリスのアルバムです。このアルバムは、文句なく音楽的に最上級なのに、ものすごく親しみやすく全く肩の凝らない、数少ないジャズアルバムです。音楽のもたらす豊かさが、どれほど素晴らしいかを教えてくれるアルバムだと思います。それにジャズでは珍しく、21曲も入っているのです。なんてお得!!1989年の録音だけれど古さを全く感じさせず、いつ聴いてもとてもみずみずしいんです。
“くまんばちの飛行” ウィントンの超絶技巧をご披露!
ウィントンの技術がどれほどすごいか、まず、これを聴いてみてください。
これは超絶技巧が必要なことで有名な “くまんばちの飛行” という、クラッシックの曲なんですが、いったい何が起こっているのかわからないほどの、早いフレーズを演奏しているのがウィントン・マルサリスです。早いだけでなく、その音の正確さ、美しさ、驚き以外の何物でもありません。
ウィントンは、わずか18歳で、優れた新人を発掘することで有名なドラマー、アート・ブレーキーの目に留まり、アート・ブレーキー&ジャズメッセンジャーズで彼に鍛え上げられ、その後ハービー・ハンコックのバンドにも参加し、1981年にバンドリーダーとしてデビューを果たしています。クラッシックの名門校ジュリアードを卒業していて、クラッシックとジャズ、双方のグラミー賞を同一年に獲得した唯一の人です。ジャズの殿堂、ジャズ・アット・リンカーンセンター(JALC)の音楽監督も務めています。JALC は、オペラハウス、ニューヨークフィルの本拠地、バレエの劇場、ジュリアード音楽院などを併せ持つ、芸術のための複合施設であるリンカーン・センターの一角にある施設で、ジャズの普及や教育も施設としての使命です。彼の率いるジャズ・アット・リンカーンセンター・オーケストラは世界中で公演を行っています。
また、ウィントンの兄弟のうち4人がジャズ・ミュージシャンで、父親エリス・マルサリスもジャズ好きなら必ず一目置くピアニスト。
このアルバムは父親エリスと息子ウィントンの親子共演からなるものです。
ウィントン・マルサリスは上手すぎておもしろくない?
前置きが長くなりますが、ウィントンが上手いことに異論のある人はおそらくいないと思いますが、「うますぎておもしろくない」という批判も多いことは確かです。
超絶技巧を持ち研究熱心でまじめな彼の演奏が、計算され過ぎて面白くない、情熱的でないと思う人はいるかもしれません。でも、ウィントンほど、ひとつひとつの音の意義を深く追及して演奏する人は珍しいでしょう。そして、それほどまでに一つ一つの音にこだわるために必要なことは、もちろん技術もありますが、むしろ限りない情熱なのだと私は思うのです。バンドのバランス、曲全体のバランス、それを十分考慮したうえで、どんなに短い音もおざなりに吹かない彼を心から尊敬しています。ウィントンは並外れた演奏能力と知識と謙虚さをもち、後進の育成やジャズの普及に熱心な、非常に貴重な人材だと思います。そして決して自分の技巧をひけらかすことに走らず、バンドとしてのバランスを重視した彼の演奏は、いつも私を魅了します。
もう20年以上に前なりますが、彼の率いるバンドの演奏を、ホールで聴いたことがあります。北朝鮮のマスゲームも真っ青な、みごとに揃った管楽器隊の演奏、澄み切ったマルサリスの音色、躍動感あふれるリズム、興奮しっぱなしでした。
このアルバムは、オリジナルの3曲以外は全てジャズのスタンダードとして、数多くの演奏家が録音している曲ばかりで構成されています。
もし興味がおありなら、apple music や iTune などで曲名を検索し、いろんな演奏を聴き比べてみるのも面白いと思います。
また、「ジャズとはいったい何だろう?」と疑問がわいた方は、是非ジャズとは何か?楽しく音楽を聴くだけでサルでもわかる!も、ぜひのぞいてみてください。
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